ミケランジェロ・プロジェクト


 2019.8.20      奪われた芸術作品を取り戻せ【ミケランジェロ・プロジェクト】

                     
ミケランジェロ・プロジェクト (上) ナチスから美術品を守った男たち ナチスから美術品を守った男たち (角川文庫) [ ロバート・M・エドゼル ]
評価:3

■ヒトコト感想
ドイツ軍に奪われた美術品を取り戻せ。歴史的に価値のある美術品を取り戻すため芸術のエキスパートたちが戦場に入り込む。本作は実話をベースとしており、芸術品を取り戻す特殊部隊が存在しなければ、多くの有名な美術品はドイツ軍に焼かれていたのだろう。芸術関連ではエキスパートであっても戦争はド素人の者たちだ。

ある程度の階級は与えられるが、戦場では兵士たちは生き残るために必死に戦う。そんな中で、美術品がどうとか言う余裕はない。命を守るためには、たとえ盗まれた美術品が保管されているであろう建物であっても、躊躇することなく攻撃する。芸術品を取り戻す任務をそこまで大っぴらに主張できないことが、このチームの辛い部分かもしれない。

■ストーリー
第二次世界大戦、終戦間際。ドイツ軍はヒトラーの命により、侵攻したヨーロッパ各国の美術品を次々と略奪。その中には、レオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」「モナ・リザ」、ファン・エイク「ヘントの祭壇画」、ゴッホ「ひまわり」、レンブラント、ルノワール、ロダン、ピカソ・・・・・・、

そしてミケランジェロ「聖母子像」など、数々の名作が含まれていた。これらの歴史的財産の喪失を阻止するため、7人の男たちで結成された特殊部隊“モニュメンツ・メン"が立ち上がる。芸術のエキスパートで、戦争ド素人の彼らのミッションは、戦場の最前線でナチスが略奪した美術品の数々を“奪還"すること。まさに、史上最大最高額のトレジャー・ハンティングだった!

■感想
ヒトラーに奪われた美術品を取り戻せ。歴史的価値の高い美術品であっても、戦争の極限状態では焼き払われる可能性がある。それら美術品を取り戻すために組まれた特殊部隊”モニュメンツ・メン”。7人の芸術のエキスパートたちは、価値ある美術品を探すために戦場へと向かう。

当然ながら特殊なミッションなので、それなりの階級を与えられるのだが…。戦場では美術品確保は二の次とされている。当然だろう。生きるか死ぬかの戦いをしているときに、貴重な絵画だからと守ることを考えるのは難しい。

戦場では誰もが平等だ。芸術のエキスパートであっても戦場にでれば銃弾に倒れることもある。特種部隊のメンバーで二人が犠牲になる。若い兵士と同じように戦争に慣れない芸術のエキスパートたちはただただ戸惑うばかり。

強烈なインパクトはないのだが、現場を守る兵士たちとの温度差はいかんともしがたい。ドイツ軍が劣勢となり、最終手段としてヒトラーからは美術品を焼き払えという命令がでている。タイムリミットが近い中で、どのようにして芸術作品を取り戻すのか。

戦争が終わってからも安心はできない。ドイツ国内にある美術品を探し出す必要がある。それも、ソ連軍がやってくる前に。またまたタイムリミットのあるゴタゴタがスタートする。芸術品をこよなく愛する者たちが、後世に芸術作品を残すために奮闘する。

そのためには命を捨てても構わないとすら思う。ミケランジェロの「聖母子像」を見つけ出した際の驚きの表情がすべてを物語っているのだろう。芸術のためには命を投げ出す覚悟がある。ある意味、戦場の兵士よりもしっかりとした覚悟だろう。

本作の特殊部隊の活躍がなければ、有名な作品のいくつかは消滅していたということだ。



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