2018.9.23 壮大な迷路に圧倒される 【メイズ・ランナー】
メイズ・ランナー /ディラン・オブライエン
評価:3.5
■ヒトコト感想
周囲を高い壁に囲まれた森の中で生活する若者たち。壁には入り口があり、そこから迷路を脱出することで外に出られるのだが…。迷路を調査するのはランナーと呼ばれる男たち。ただ、迷路内には夜だけ怪物が存在し、迷路の通路も変わっていく。若者たちは、いつの間にか迷路を脱出することをあきらめ、草原で生きることだけを考え始めるのだが…。
若者たちが記憶をなくしているのがポイントだ。なんの目的で若者たちが集められたのかは誰も知らない。自分の名前を思い出すことができたトーマスは、迷路を脱出しようとするのだが…。この不思議さがすばらしい。なんだかわからないが、奇妙な状況にはいつの間にか惹かれてしまい、最後まで熱中してみることができた。
■ストーリー
気がつくと「彼」は上昇するリフトの中にいた。待っていたのは彼と同世代の若者たち。周囲を高い壁に囲まれ森や草地が広がる場所“グレード"には、月に一度、生活物資とともに自分の名前以外のすべての記憶を失った一人の少年が送り込まれるという。
「彼」もまた、自分の記憶が全くないことを自覚する。「彼」はリーダーのアルビーに壁の向こうへ行かないよう言い渡される。そして、2番目のリーダーのニュートから、壁の向こうは巨大な迷路だということ、数名の“ランナー"といわれる精鋭が出口を求めて朝から晩まで危険な迷路探索に挑んでいるが、未だ迷路の構造も謎も解明できずにいることを知らさせる。
その夜の新入りの宴で、腕試しの勝負をした「彼」は頭を強く打った拍子に、自分の名前が「トーマス」であることを思い出す。翌日、ランナーのベンが夜にしか出現しない謎の怪物に襲われてしまう。さらに、謎を解明するためアルビーとランナーのミンホは迷路に入るのだが……。トーマスの出現により狂いだした調和と大きく動き出した謎。果たして迷路に隠された秘密とは!?
■感想
高い壁に囲まれた迷路は壮大だ。そして、その迷路を前にすると、迷路に入るのを躊躇してしまう。記憶をなくした若者たちは、なんの目的で集められたかわからない。ただ、生きるために最善の行動をとりつづけるしかない。
ルールを決めて生きるために役割分担をする。その結果、一旦は平和な日常が送れるかと思いきや…。自分の名前を思い出したトーマスが、迷路を脱出するために行動にでる。迷路内には怪物がいると知りながら、危険をかえりみず前にすすむ。
高い壁は人に絶望感を味会わせるのに十分な高さがある。迷路の中では怪物が待ち受けている。いかにも人工的な要素が多数つまった怪物が登場してくるが、そこは偶然の要素もありトーマスがなんとか怪物を倒してしまう。
トーマスの存在が、若者たちをざわつかせる。そして、迷路を脱出しようという動きがでてくる。本作全般として、なんの目的で集められたのか?という不安感が付きまとう。何者かに監視されているそぶりはある。トーマスの役割についても、あいまいなことが不安感のひとつだろう。
ラストでは迷路から脱出し、この場所の秘密が明かされる。衝撃的展開ではあるが、明らかに続編をイメージさせるような流れとなっている。迷路の秘密や若者たちが集められた理由も語られてはいるが、明らかに結末は違っている。
続編ありきだが、ここに至るまでの引きの強さは相当なものがある。迷路を脱出できるか否かよりも、その目的に興味がある。そして、本作ではその目的は明らかにならない。人によっては、結末を放棄したと思う人もいるかもしれない。
続編ありきで完成ということなのだろう。
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