メイズ 大脱走


 2021.5.9      日本の刑務所とは異なる風習【メイズ 大脱走】

                     
メイズ 大脱走 [ トム・ヴォーン=ローラー ]
評価:3

■ヒトコト感想
厳重に管理されたメイズ刑務所。IRA幹部のラリーは仲間を脱獄させるための方策を練る。その前段でハンガーストライキが起こり、仲間が餓死していった。そのことがトラウマとなる。本作の脱獄騒動が現実の出来事ということに衝撃をうけた。ラリーは刑務所の建物の位置や、看守たちの動きと扉を開けるためのルールなどを調べていく。脱獄不可能と思われたメイズ刑務所をどのようにして脱獄するのか。

衝撃なのはIRAの仲間たちが外で看守のひとりを襲撃した部分だ。厳しい看守ではあるが、IRAの組織として看守に危害を加えようとする感覚が強烈だ。日本ではありえない流れかもしれない。家族は看守が危険な仕事だからと、辞めるように懇願したりもする。

■ストーリー
IRA幹部のラリーは、長期にわたる北アイルランド紛争を闘った末に、メイズ刑務所に収監された。政府に抵抗を示す命賭けのハンガーストライキで大事な仲間の命も失い、失意のどん底にいたラリーだったが、刑務所に多く収監されているIRAの仲間たちを脱獄させようと計画を練り始めることで、再び闘志を燃やし始める。敷地を二重に取り囲むコンクリートの壁、そのフェンスの高さは4.5mと5.4m、更にその上には有刺鉄線、頑丈な鋼鉄製の門は厳重に管理されたスイッチで開閉。果たして、ラリーが考えついた、その鉄壁の守りを突破する驚愕の方法とは?!

■感想
イギリスの刑務所内は思ったよりも緩い。看守に厳しく監視され直立不動で並んで立つなんてことはない。囚人たちだけが集められたエリアでは部屋の出入りが自由でこっそりと内緒話ができる状態にある。そんな状況なので、ラリーたちはこっそり脱獄の計画を話し合ったりもできる。

このあたりは文化の違いなのだろう。日本のような刑務所の仕組みであれば、囚人同士が集まってこっそりと脱獄計画を立てるなんてことはできない。そして、看守に反抗するなんてことはもってのほかなのだろう。

IRAのハンガーストライキがあったので、看守たちはピリピリしている。衝撃的なのは、厳しい看守のひとりが、外で家族と買い物をしていると、そこを襲われる場面だ。メイズ刑務所の看守だからと狙われたのだが…。ひとりの看守を狙うことにどういった意味があるのか。

日本では考えられない流れだ。看守の家族は、看守が危険な仕事という認識をもっており、いち早く辞めるように言う。それがかなわないと離婚し娘は別の場所で暮らすことになる。看守の仕事がそこまで危険というイメージはないだけに意外な流れだ。

ラリーが立てた計画を実行する際に、想定外のことが起こる。いるはずのない看守がいる。そのことで計画が崩れ、ラリーの仲間たちは脱獄する直前で失敗し、走って逃げることになる。ラリー本人は脱獄せず刑期を終えて出所する。脱獄した囚人の中で何人かは最後まで逃げ切った者もいる。

北アイルランド紛争や民族的な問題についてはよくわからない。IRAも他の映画で何度か登場したのを見たことがある程度だ。脱獄の計画は緻密ではあったが、日本と比べると囚人たちの監視が緩いような気がした。

イギリスの刑務所は、日本と比べると特殊に感じてしまう。



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