女神の見えざる手


 2019.6.11      サイボーグのようなロビイスト【女神の見えざる手】

                     
女神の見えざる手 [ ジェシカ・チャステイン ]
評価:3.5

■ヒトコト感想
日本ではロビイストのイメージがあまりないのだが、アメリカでは激烈な力をもっているのだろう。ロビー会社で辣腕を振るうエリザベスが銃規制の法案を成立させるため闘いを挑む。ロビイストの活動というのがどのようなものかわからない。睡眠時間を削りながら仕事にうちこむエリザベス。違法なことだろうが何をしても結果をだす。

ロビイストとして有名になることで、反対勢力からスタッフが命を狙われたりもする。ついにはエリザベスが訴えられたりもする。まさにロビイストの強烈な仕事ぶりが描かれている。ラストでは自分が罪に問われることをいとわず、相手を追い落とす執念を見せる。エリザベスの鬼気迫る表情と、何かに追われるように仕事をする姿はすさまじい。

■ストーリー
大手ロビー会社で辣腕をふるうエリザベス(J.チャステイン)は、銃擁護派団体から仕事を依頼される。女性の銃保持を認めるロビー活動で、新たな銃規制法案を廃案に持ち込んでくれというのだ。信念に反する仕事はできない…エリザベスは部下を引き連れ、銃規制派のシュミット(M.ストロング)の小さなロビー会社へ移籍。奇策ともいえる戦略によって、形勢を有利に変えていく。だが、巨大な権力をもつ敵陣営も負けてはいない。エリザベスの過去のスキャンダルが暴かれ、スタッフに命の危険が迫るなど、事態は予測できない方向へ進んでいく……。

■感想
エリザベスがロビイストとしてすさまじい気迫を見せている。大手ロビー会社から小さな会社に移籍し、銃規制の法案を成立させようとする。ロビイストは結果をだすことが全て。結果をだすためにはなんでもやる。仲間を裏切ることも、相手を策にはめることも。

睡眠時間を削り、ただ生命を維持するためだけに食事をする。究極に不健康な生活をしつつ、仕事のために人生のすべてをささげる。性欲は金で男を買うことで解消する。まさに、サイボーグのような仕事マシーンだ。

銃規制側が劣勢とわかると、エリザベスは仲間のスタッフを利用し流れを変えようとする。銃乱射事件の生き残りスタッフが銃の危険性を叫ぶ。その結果、そのスタッフは銃賛成派から命を狙われることになる。

勝つためにはなんでもするエリザベス。エリザベスは非合法な諜報活動を行うチームを極秘でもっており、対決相手の弱みを見つけようとする。エリザベスの元の会社の者たちは、エリザベスを失脚させようとあらゆる手段を使う。どっちもどっちで、勝つためにはなんでもやる者たちだ。

エリザベスは違法行為の裁判にかけられる。エリザベスの激烈なロビー活動と並行するように裁判の状況が描かれている。そして、エリザベスが不利な裁判となりつつある時、エリザベスは一発逆転の手を隠していた。

エリザベスは自分が裁判で有罪になることを覚悟し、強烈なスキャンダルを暴露する。元々のエリザベスのロビイストとしての信条は、勝たせることにあるはずだ。それは自らを犠牲にしてでも、キャリアを棒にふってでも、やり切る執念に驚かされた。

エリザベスの、常に眉間にしわを寄せた表情が印象深い。



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