マン・ダウン 約束の戦士


 2019.4.10      過酷なアフガニスタンの戦場【マン・ダウン 約束の戦士】

                     
マン・ダウン 戦士の約束 /シャイア・ラブーフ
評価:3

■ヒトコト感想
海兵隊のドラマーが、アフガニスタンでの戦闘で心を病む物語だ。冒頭から、アフガニスタンでの戦闘と、どこかわからない場所で息子を取り戻すためにひげ面のドラマーがひとり奔走する場面が交互に描かれている。観衆は、過去のドラマーの状況はよくわかるが、現在のドラマーがどこで何をしているのかわからない。敵に捕らわれたのかとも思える状況だ。

アフガニスタンで任務についている最中に、実は嫁が同僚とチャットで連絡していたなど、ドラマーには気の毒な状況が多数ある。極めつけは、アフガニスタンの戦闘で、自分のミスから仲間が犠牲になる。これが、ドラマーが故意に仲間を死なせようとしたかのような流れすらある。不思議な状況はラストで衝撃の真実が明らかとなる。

■ストーリー
米軍の海兵隊員ガブリエル・ドラマーは、妻ナタリーと息子ジョナサンを故郷に残し、アフガニスタンへと向かう。戦場での任務は想像以上に過酷なものであったが、故郷で待つ妻と息子の存在がガブリエルを奮い立たせた。そしてついに、アフガニスタンからアメリカへと帰還する。しかし、辿り着いた故郷の街は、建物や橋が崩壊し住人たちの姿も消えていた。まるで異世界に迷い込んだかのように、懐かしき面影は失われていた。

この街に一体何が起こったのか?ガブリエルは、共に帰還したデビンと、荒廃した街でナタリーと ジョナサンの行方を探すが―。

■感想
アフガニスタンでの任務は過酷だ。妻と息子と離れ離れになり、ひたすら訓練を続け、命令があれば死の危険と隣り合わせの戦場でひたすら闘い続ける。海兵隊の過酷な状況を癒すのは、家族との連絡だけ。ドラマーがアフガニスタンの市街地で敵と戦闘になり、激しい銃撃戦を繰り広げる。

その結果、敵はいないと思った部屋に敵が隠れており、それをドラマーが見逃していたので、仲間が死んでしまう。ドラマーが上官から問い詰められる場面が続くことから、何かしらドラマーの精神に異常があるということが観衆にもわかる。

物語のポイントは、仲間が死んだ後に、ドラマーがチャットの履歴から妻と仲間の浮気を知る部分だ。観衆はドラマーがわざと仲間を死なせたわけではないとわかっている。が、上官から疑われてしまう。このあたりからドラマーの状況に変化があることがわかる。

交互に描かれるアフガニスタンの戦場と、どこかわからない場所でひげ面のドラマーが闘い続ける映像。アフガニスタンからアメリカに帰ってきてからも、さらに別の戦場に行ったのか?と思わせる流れとなっている。

ドラマーと妻との間にわだかまりがあることが描かれ、ラストの状況へとつながる。強烈なのは、ドラマーが戦っているのは自宅で、自宅から息子を取り戻そうと必死になっているということだ。結局、ドラマーは精神に異常をきたし、自宅をどこかの戦場と勘違いしたまま、戦い続けている。

息子は怯え、妻はドラマーからは敵にしか見えない。実際にアフガニスタンへ派遣された海兵隊の多くが、アメリカに戻ってきてから自殺しているのは間違いないのだろう。

衝撃的なアメリカ兵の実情だ。



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