去年の雪 


 2020.11.5      繋がりが複雑すぎて理解が困難 【去年の雪】

                     
去年の雪[ 江國香織 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
さまざまな人々の人生が描かれている。目まぐるしく変わっていくので、油断すると誰の話をしているのかわからなくなる。おそらくだが、つながりがある物語もあるのだろうが、それを理解して読むのは難しいかもしれない。不倫や人間関係の悩み。ごく普通に妻の乳房に執着する夫や、死んだ夫と交信する女性など、少し変わったエピソードもある。

自分の死に気づいたタクシーの運転手など、それぞれの登場人物たちがもつ繋がりに気づくことができるのか。時代にしてもいくつかの時代があるので、それをしっかり理解しながらどこまで繋がりを感じることができるのか。何か作者の仕掛けがあるのだろうと深読みしたりもする。最も混乱する原因としては、男女で似た名前の登場人物がでてくるためだろう。

■ストーリー
死んだ夫と交信する女性、妻の乳房に執着する夫、自分の死に気づいたタクシーの運転手…百人百様の人生を歩む登場人物たちが持つ意外な繋がりは一体?降り積もっては消えゆく、あなたの、そして誰かのお話。

■感想
自分で理解できる限り、江戸や平安時代の話が登場してくる。当然、現在の物語もあり、幽霊目線の物語もある。登場人物をすべて把握するのは、何かメモをとりながら読むしかないだろう。自分はそれをしていないので、頭の中で記憶にある登場人物の名前を追いかけることしかできなかった。

さらにやっかいなことに、時代を超えて会話したりもする。動物も登場しており、ひとつひとつのエピソードとしてはすっきりと理解できるのだが、繋がりを把握して楽しむのはかなり難しい。

時代を超えて声が聞こえたりもする。事故で死亡した人物や、死者の世界と会話ができる人物まで登場してくるので、より混乱してしまう。江戸時代の時代背景はすぐにわかったのだが、それが他のエピソードとどのように繋がりがあるのかまでは理解できなかった。

ここに幽霊が追加され、さらには動物までも登場してくると。。。読み進めていけば最後の最後にはすべてがすっきりと整理された形でなんらかの終わりになるかと思ったのだが…。そうはならなかった。

エピソードの中には心に残るものもある。ただ、それを最後まで覚えていることはできなかった。次々と場面展開が変わり登場人物がかわる。それについていくだけで精一杯というのが正直なところだ。

結局最後まで読んで、なんだったのか?という感想しかない。どのような作品かと聞かれると、すっきりと説明できない。大量の登場人物たちに繋がりがあるような描かれ方をしているが、それを理解し読み進めるのは不可能な作品だとしか言いようがない。

かなりチャレンジングな作品だ。



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