雲のように風のように


 2020.12.7      ジブリの片りんを感じさせる作品【雲のように風のように】

                     
雲のように風のように [ 酒見賢一 ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
かなり昔のアニメ作品だ。ジブリが有名になる前にジブリのスタッフが制作に参加していた作品らしい。確かにキャラクターの見た目がジブリ作品風な雰囲気がある。物語は中国っぽい架空の国が舞台だ。新皇帝の正室を決めるために国中から少女たちが集められ、そこから正室になるための女だけの学校が作られる。

妃になれば三食昼寝付きという言葉に影響され、田舎娘の銀河は正室になるために都にやってくる。銀河が天真爛漫でジブリキャラの原形のような感じが良い。銀河が妃となってから新皇帝は狙われることになる。このあたり、中国の歴史を連想させるような流れとなっている。全体的にコミカルなのだが、中国の歴史物語のような流れだ。

■ストーリー
17世紀初頭、中国とおぼしき架空の国で皇帝が逝去。新皇帝の後宮に国中から少女たちが集められることに。妃になれば三食昼寝付と聞いた田舎娘の銀河も入宮することとなる。宮中の常識にとらわれない自由奔放な銀河の正妃への道程と、新皇帝の座を巡っての陰謀、さらにそんな国情を逆手にとっての謀反の勃発といったドラマが入り乱れ、コミカルながらも壮大な偽史が描かれる。

■感想
架空の国という扱いだが明らかに中国だ。皇帝の風貌や軍隊の見た目などまさに中国だ。新皇帝の妻を選ぶため国中から少女が集められる。銀河は三食昼寝付きに魅力を感じて参加するのだが…。個性豊かな妃候補たちと妃になるための教育を受ける。

序盤の銀河はまさに田舎娘そのままだ。そこから教育を受けて成長していくのだが…。銀河の破天荒な部分がすばらしい。何をやるにも純粋な気持ちで言葉を発するので、銀河の意外な言葉に、みなが唖然としたりもする。

銀河は妃となる。そして、新皇帝の妻として活動するのだが…。ここで後宮中心の物語となる。都に敵が攻め込んでくる。古代の中国でありがちな皇帝の椅子を取り合う争いだ。一瞬、皇帝の椅子に座ったとしてもすぐに次に命を狙われたりもする。

外部の敵だけでなく、身内からも暗殺される危険性がある。妃となった銀河は後宮の女たちを率いて、外部の敵に対抗するのだが…。新皇帝を助ける妃である銀河は、精一杯新皇帝を助けたのだが…。うまくいかない。

全体的に皇帝の椅子を争う物語なので、陰鬱になりがちだが、銀河の破天荒で明るいキャラクターが物語をコミカルにしている。謀反を起こして皇帝の椅子を手に入れた男も、実は銀河が田舎娘として都に行く途中に護衛をしてくれた男だった。

誰が悪だとかいうのはない。時代の流れとしてやむをえないという感じだ。物語のラストにはエピローグとして、銀河が新皇帝との初夜を馬小屋の中で一度だけ迎え、その時にできた子供が、のちの皇帝になるというありがちなオチがある。

ジブリ風な雰囲気は十分感じられる物語だ。



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