クイール


 2020.9.25      盲導犬が生み出されるプロセス【クイール】

                     
クイール [ 小林薫 ]
評価:3

■ヒトコト感想
盲導犬とはどのようなプロセスで生み出されるのかが描かれている。実話をもとに描かれているらしい。盲導犬の知識がないので、驚くことは沢山ある。生まれてまもなく、盲導犬に向いていそうな子犬を見つけそれをパピーウォーカーの家庭で1年間限定で育てる。

1年限定というのがポイントだろう。パピーウォーカーの家庭は情がわいてきたとしても1年で離ればなれになるのは辛い。その後の訓練センターでの厳しい訓練や、盲導犬にかける声は常に英語の理由など、目からうろこの内容が盛りだくさんだ。盲目の気難しい中年男である渡辺とクイールが出合い、そしてかけがえのないパートナーとなる。ラストはまるで、どこかで聞いたことのあるパターンだが、死んだ渡辺を待ち続けるクイールというのがよい。

■ストーリー
生まれて間もない子犬のクイールは、すぐに親元を離れてパピーウォーカー(香川照之&寺島しのぶ)のもとで1年間育てられ、そして盲導犬となるべく訓練センターでの生活を始め、多和田訓練士(椎名桔平)の訓練を受ける。やがて、盲導犬を断固拒否していた渡辺(小林薫)が、クイールのパートナーに決まったが……。

■感想
盲導犬はどうやって育てられ、人の役に立っているのか。子供に盲導犬の成り立ちを説明するような教育映画的な雰囲気すらある本作。クイールのかわいらしさは強烈だ。生まれたばかりのクイールはやはりかわいい。盲導犬に向いている犬の特徴としては、何事にも動じないというのがあるらしい。

アチコチ気が散るような犬には向いていないようだ。子犬のクイールはパピーウォーカーに預けられ、そこで1年限定である夫婦に育てられる。1年限定というのは育てる側にとっても1年後に辛い別れがまっている。

クイールを訓練する際には、常に英語で声をかける。これは方言や男女による言葉の違いを排除するためにあえて英語にしているようだ。クイールを訓練するために、グッド、ゴウ、ライト、レフトなどを命令する。盲導犬は、人間の言うことを忠実に守りつつも、危険な場合には命令に背くこともある。

盲目の人にとっては盲導犬は命綱となる。クイールの動きを見ていると、盲導犬は犬の中でも頭の良い犬でないとできないというのがわかる。また、待てと言われてひたすら待ち続けるのも盲導犬として欠かせない素養らしい。

気難しい盲目の中年である渡辺がクイールと出会う。最初は盲導犬のことを拒否していた渡辺が、最後にはクイールが欠かせない存在となる。渡辺が病気で入院した際にも、クイールは渡辺の帰りをじっと待っていたりもする。

渡辺が死んだあと、クイールは別の飼い主の下で盲導犬として働くのかと思いきや、そうはならない。盲導犬というのはそういう存在なのだろうか。ひとりの飼い主に最後まで忠誠を誓うというのは強烈だ。大型犬であるクイールが死ぬシーンも最後は感動にあふれている。

盲導犬とはどういうものかがよくわかる物語だ。



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