今夜、ロマンス劇場で


 2020.7.15      スクリーンから飛び出した女優【今夜、ロマンス劇場で】

                     
今夜、ロマンス劇場で [ 綾瀬はるか ]
評価:3

■ヒトコト感想
大昔の白黒映画から女優が現実世界に飛び出してくるSF映画だ。古いモノクロ映画が好きな健司と映画から飛び出した美雪の恋愛物語だ。冒頭、老人となった健司が、入院中の病室で過去を回想する形で脚本を執筆する。昭和の時代の映画製作現場を舞台に、世間知らずで高飛車な美雪が健司を従者のように扱いながら物語がすすんでいく。

昭和の映画製作現場というのはやけにノスタルジックな気分にさせる。特に昭和に思い入れがなくても、懐かしい気持ちになる。美雪と健司の恋愛は、健司が美雪に触れてしまうと美雪は元の世界に戻ってしまうという制約がある。観衆は美雪との恋愛は、美雪が手を引くことで社長令嬢の塔子と健司が結婚し現在にいたると勝手に想像してしまう。

■ストーリー
映画監督を夢見る青年・健司(坂口健太郎)が密かに想いを寄せるのは、通い慣れた映画館・ロマンス劇場の映写室で見つけた古いモノクロ映画のお姫様・美雪(綾瀬はるか)。今は誰も見なくなったその映画を、毎日のようにくり返し見ていた健司の前に、ある日奇跡が起きる。美雪が健司の目の前に突然現れたのだ。

その日から2人の不思議な同居生活が始まった。モノクロの世界しか知らない美雪にカラフルな現実世界を案内する健司。同じ時間を過ごす中で、2人は次第に惹かれ合っていく。しかし、美雪にはある秘密があった。現実の世界に来るための代償で、人のぬくもりに触れたら美雪は消えてしまうのだ。そんな中、美雪は映画会社の社長令嬢・塔子(本田翼)が健司に想いを寄せていることを知る。

■感想
恋愛SF映画。あこがれの女優が現実に現れる。美雪はわかりやすくモノクロのまま現実に現れる。健司は美雪にまるで奴隷のような扱いをうける。ここだけ見ると、健司はまさにMの極みのように思えてくる。そして、美雪は強烈なSだ。

SとMのふたりは相性バッチリだ。美雪のお姫様っぷりはすさまじい。現実の映画スターにビンタはするは、自分の思うがままに高飛車な態度にでる。その美貌から周りは目を向ける。健司がそれらの後始末をしながらあたふたする。

昭和の映画製作現場が物語の舞台となっている。特に昭和に思い入れがあるわけではないが、まるで「ALWAYS」を見たときのような懐かしい気分になる。映画監督を夢見る助監督たち。その中に健司はいるのだが、脚本を書くチャンスがあると必死で執筆する。

美雪への思いを脚本に投影させる。ここで、健司に熱い視線を送るのは、社長令嬢の塔子だ。控え目で優しく美しい塔子。塔子と結婚すれば監督になるチャンスもでてくる。誰が見ても塔子を選んだ方が良いような気がするのだが…。

物語は現在へと戻り、年老いた健司が病室で脚本を書き続ける。美雪と健司のロマンスはどうなったのか。看護師が健司へ結末を聞きたがる。観衆はここで美雪と別れ、塔子と結婚して現在があると勝手に思いこむのだが…。病室へやってきた健司の孫はまさかの美雪だった。

結局、ふたりはそのまま付き合い、健司は美雪にいっさい触れないまま年老いたということだろう。美雪は年をとることがないため、ふたりは祖父と孫のように見えてしまう。驚きの展開であることは間違いない。

白黒の女優が映画から出てくるという設定は面白い。



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