恋のしずく


 2021.4.10      日本酒が飲みたくなる【恋のしずく】

                     
恋のしずく [ 川栄李奈 ]
評価:3

■ヒトコト感想
ワインソムリエを目指す詩織の実習先は広島の日本酒の酒蔵となった。詩織は日本酒が飲めないので、気が進まないまま酒蔵で実習を行う。この老舗の酒蔵での出来事が本作のメインとなっている。酒蔵の蔵元の息子である莞爾は詩織といきなりやりあう。酒蔵をなんとか維持しようと新しいビジネスの話を勝手にすすめてしまう莞爾。

詩織はしぶしぶ酒蔵での実習を行うのだが、修行に近い仕事の数々に根を上げそうになる。蔵元の突然の死により、後継ぎである莞爾は困惑する。伝統的な仕事では定番ともいえる後継ぎ問題。今の流行から外れても、昔ながらの手法を続けるのか。ちょっとした恋愛要素もあり、詩織は厳しく怒られながらも、逆に言い返すほどの気の強さが良い。

■ストーリー
東京の農大でワインソムリエを目指す“日本酒嫌い"のリケジョ・橘詩織(川栄李奈)の実習先は、意に反して東広島・西条の日本酒の酒蔵に決まってしまった。酒蔵での実習を終えないと単位が取得できず、夢のワインの本場フランスでの海外留学への道も閉ざされてしまう。渋々実習先の乃神酒造へ訪れた詩織だったが、今年は実習生の受け入れ予定はないと言われてしまう。実は、蔵元(大杉漣)が受け入れを断ったにも関わらず、息子である莞爾(小野塚勇人)が父親への反抗心から勝手に進めていたのだった。

絶対に単位が欲しい詩織は食い下がる。農家の娘美咲(宮地真緒)の助けもあり、なんとか杜氏の坪島(小市慢太郎)から蔵に来るように言われ、酒蔵で修行に近い「実習」が始まる。人々との出会いや日本酒造りを通じて、今までにない喜びを見出す詩織。そんな時、蔵元の体調が急変し、思わぬ転機が訪れる。詩織は好きになった日本酒、西条の街や人々、そして思いがけず抱いた莞爾へのほのかな思いをどう決断していくのかー。

■感想
元AKBの川栄李奈が主演の作品。学生が広島の酒蔵で実習する。後継者問題で悩む酒蔵。蔵元の息子である莞爾は、父親への反抗心がある。伝統ある酒蔵は、じり貧の状態となっている。蔵元も体調が悪い。まさに伝統が途切れる要素がふんだんに詰まっている。

そんな酒蔵に実習に来た詩織は、莞爾などと対立しながらも酒蔵の仕事を手伝う。日本酒を作ることの大変さを描いた作品だ。手作業で米を刈りとるところから始まり、米を発酵させて酒を造る過程が描かれている。お仕事紹介物語的な流れだ。

ちょっとした恋愛模様もある。莞爾と詩織に関してはちょっとしたことでゴタゴタがあり、恋愛の要素は少ない。農家の娘の美咲の絡みでちょっとした恋愛がある。詩織が酒蔵の仕事に熱を入れ始めたところで、蔵元が急死しそこで事態は変化していく。

莞爾が昔ながらの酒蔵の仕事に心を入れ替えて邁進する流れがあり、そこで詩織は莞爾のことを見直し始める。日本酒を作る過程を描く以外の部分は、よくある恋愛ドラマのような展開が続いていく。広島の酒蔵に思い入れがある人が見るとたまらないだろう。

ラストは詩織にフランスへの留学の話が舞い込んでくる。強烈なインパクトはないのだが、お決まり通りの展開となる。研修を途中でやめてフランス留学へと向かう詩織。莞爾が見送りにくるのだが…。別れの場面で詩織が何かを告白するのだが、その言葉はホームの電車が発車するベルによってかき消されてしまう。

なんともベタベタな展開だ。今どき、ここまでベタな展開になるのはめずらしい。純粋なドラマとして見ると物足りないのは間違いない。ただ、日本酒を作る酒蔵の物語をメインとして考えるなら、そこそこの作品だ。

日本酒が飲みたくなる作品だ。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp