こはく


 2021.12.15      アキラ100%が意外に良い演技をしている【こはく】

                     
こはく
評価:3

■ヒトコト感想
ダメな兄貴と弟が幼いころに別れた父親を捜す物語だ。亮太は一度離婚し、再婚後、父親になろうとしていた。兄の章一は女好きでフラフラしただらしない男だ。亮太と章一が父親を捜すのが本作のメインだ。町でなんのあてもなく人に父親の名前を訪ねて探し歩く。到底見つけられそうもない捜索なのだが…。

序盤では全体の人間関係が明らかとなる。母親に対して気をつかう兄弟。章一は何かにつけて女にちょっかいをだすダメ男な雰囲気がある。亮太は妻の妊娠に少し戸惑っている感がある。兄弟の性格の違いと、少しづつ父親へつながる情報が入るのがポイントだ。病気の母親が死んだ際に、元従業員と出会い父親の消息が明らかとなる。結局何だったのかよくわからない物語だ。

■ストーリー
長崎県に住む広永亮太(井浦新)は35歳。幼い頃に別れた父のことはほとんど覚えていないが、父が借金とともに残していったガラス細工会社を受け継ぎ、どうにか経営を立て直しつつある。その一方で、かつての父と同じように離婚し、ふたりの息子とずっと会っていない亮太。現在の妻の友里恵(遠藤久美子)とは幸せに暮らしているが、ある日、友里恵から妊娠を告げられ、喜びながらも父親になることへの一抹の不安を覚える。

そんな折、母の元子(木内みどり)と暮らす兄の章一(大橋彰)が、街で父を見かけたと言い出した。いい加減なことばかり言って仕事もせずにぶらぶらしている兄が、いつになく真剣な面持ちで父への恨みも口にしたため、亮太は衝撃を受ける。兄に付き合って父を捜し始めた亮太は、自分たちと別れた後の父の人生に思いを馳せる。忘れかけていた子供時代の記憶が蘇り、若き日の母が垣間見せた孤独な姿も思い出すようになる。

母は今でも父のことを話すのを嫌がり、亮太が理由を訊いても教えてくれない。そんな母に内緒で父を捜し続けた亮太と章一は、唯一の手がかりとなりそうな元従業員の女性の住所を手に入れるが、その住所を訪ねると、女性はすでに転居してしまっていた。父親捜しは暗礁に乗り上げた。そもそも兄が父を見たというのは本当なのか? 亮太は章一を疑い始め、兄弟の仲が険悪になりかけたとき、母が病に倒れた。病床で初めて、「お父さんは優しかったとよ」と語る母。友里恵が息子の亮平を出産した数カ月後に、母はこの世を去った。そして葬儀の日、ついに亮太と章一は父に関する有力な情報を得る――。

■感想
アキラ100%が兄章一を演じる。意外なほど違和感はない。ダメ人間っぷりが良く演じられている。亮太は真面目なのだが、一度離婚をしている。それはもしかしたら自分も父親と同じではないかと心の中で思っているのだろう。

地元の商店街に聞き込みをする亮太と章一。ただ、父親のフルネームを話し、いないかと尋ねるのはあまりにも無理がありすぎる。そんな成功する見込みのないことをひたすらやっているのは、章一のアリバイ作りのように思えてくる。すべてを母親に内緒で行っていることが何かを感じてしまう。

元従業員の女がカギを握っていると知る兄弟。明らかに父親が女と逃げたという流れだ。もし、この状況であれば、いまさら父親に会ってどうする?というのがある。ただ、物語としては母親が死んだことで、母親の死を父親に伝えるために父親捜しを続ける理由がでてきてしまう。

章一のダメっぷりがさらに明らかとなる。亮太は父親の記憶がほとんどないが、兄である章一は父親に大きく依存していたのだろう。父親がなぜいなくなったのか、その理由を知ることが章一自身の救いにもなるのだろう。

亮太は父親となる。母親の葬式の場で元従業員と再会し、父親の現在の素性を知る。驚きなのは兄弟に会った父親が、最初は誰かわからない表情をしていたのだが、すぐに息子たちだとわかる場面だ。恐らく、想像なのだが、父親はどこからか息子たちの写真などを手に入れていたのだろう。

でなければ40前の男二人が自分の息子たちだとすぐに気づくはずがない。章一が父親に抱きついて泣きじゃくる場面は、何か考えさせられるものがある。

結局は、父親が戻ってこなかった理由は語られていない。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp