金メダル男


 2019.3.3      誰にも無限の可能性がある 【金メダル男】

                     
金メダル男 プレミアム・エディション [ 知念侑李 ]
評価:3

■ヒトコト感想
ウッチャンが監督の作品。タイトルの金メダル男というのは、幼少期に金メダルを期待されていたが、挫折からなんでも中途半端で終わってしまう男の物語だ。はたから見るとかなり波乱万丈な人生だ。少年時代はオリンピックでメダルがとれると期待されるほど水泳が得意だったのだが…。

ひとつ挫折すると、演劇や世界一周など様々なことに手をだす。これはまるで、「自分は何かしらの才能がある」とうぬぼれた若者をそのまま描いているような気がした。結局のところ何もモノにならないまま40代となり焦る。普通に就職してからも世間で話題になることに挑戦したり。ただ、主人公の泉一に一切悲壮感がないのがよい。普通ならば何もかもいやになりそうなものなのだが…。

■ストーリー
東京オリンピックの開催に日本中が沸いていた1964年。長野県塩尻市に生まれた男の子。彼の名は秋田泉一。小学生の時に運動会の徒競走で一等賞に輝いた彼は、その幸福感にとりつかれ、以降、絵画や書道、火起こし、大声コンテスト、鮎のつかみ取りに至るまで、あらゆるジャンルで一等賞をゲット。いつしか「塩尻の金メダル男」と呼ばれるまでになる。

ところが中学に入学すると、思わぬ落とし穴が…。一等賞から見放された泉一は高校入学を機に巻き返しを図るが、それはめくるめく七転び八起き人生の始まりに過ぎなかった…。どうなっちゃうんだ泉一! ?がんばれ泉一!

■感想
小学生時代に足が速いからと金メダルを期待される。それはよくある親バカのパターンだが、それを真に受け、一つ挫折するとそこから次の競技に挑戦したりもする。水泳で期待されながらもうまくいかない。そこから高校入学を機に新たな挑戦をするのだが…。

演劇に挑戦し自分探しの旅にでたりもする。過去に期待されてきた栄光があるだけに、今の自分が何者でもないことが許せないのだろう。その気持ちはだれにでもあるだろう。小さいころには自分に何か才能があると思わずにはいられない。

成長するにつれて、徐々に現実を見て自分の身の丈にあったことをやるようになる。泉一はまったくそんな考えはない。自分には何かがあると考え、様々なことに挑戦する。自分の可能性を信じて自転車で世界一周をしたりもする。今でいうところの就職もせずにSNSで状況を報告しながら世界一周に挑戦するようなものなのだろう。

当たり前のサラリーマンにはなりたくないという思いからなのか。劇団崩れというのがまさに何かを象徴しているようだ。世間には、抜け出せず一生くすぶり続ける人が大量にいるはずだ。

本作の泉一はある意味見限るのも早い。次々に新しいことに挑戦するバイタリティーはすごい。その結果、40になるまで定職には就いていないが、結婚を機に考え方を変える。ただ、そこでもちょっと目立つような新しいことに挑戦したりもする。

過去、中途半端に有名となり、名前が売れることは、その後は足かせにしかならない。子供ができてある程度安定した生活を手に入れられたとしても、そこからプロゴルファーに挑戦しようとするところがよい。

泉一を見ていると、自分はまだなんでもできそうだと勇気づけられる。



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