ジェラルドのゲーム 

評価:2.5

 2018.11.8      犬が死体をむさぼり食う 【ジェラルドのゲーム】

                     
ジェラルドのゲーム / スティーヴン キング
評価:2.5
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■ヒトコト感想
山の中の別荘でジェラルドとジェシーはセックスに没頭するはずだった。ジェシーはベッドにバンザイの恰好で手錠をかけられジェラルドとの遊戯に挑むはずだったのだが…。アクシデントでジェラルドが急死したことで状況は変わってくる。ジェシーは一人っきりでベッドに縛り付けられたままの状態となる。山奥なので、誰も助けにこない。

しだいに衰弱していくジェシーは、幻覚や幻聴を聞くようになる…。誰にでも起きるというわけではないが、アクシデントとしては発生しうる状況だ。ジェシーがどのようにしてこのピンチを脱するのか。強烈なインパクトはないのだが、ジェシーの状況は困難に満ちている。幼いころのトラウマがよみがえるジェシーの状況はすさまじすぎる。

■ストーリー
季節はずれの山中の別荘。妻を緊縛してセックス遊戯にふけるはずだったジェラルドは急死、床に転がっている。バンザイの恰好で両手をベッドポストにつながれたまま取り残されたジェシーを、渇き、寒さ、妄想が襲う。そしてさまざまな“声”が彼女の思考に入りこんで…。

■感想
ジェラルドはジェシーを誘い山の中の別荘で怪しげな遊びにふける予定だった。それが、アクシデントからジェラルドが心臓麻痺をおこし死んでしまう。手錠につながれたままのジェシーは、手錠をとるために四苦八苦するのだが…。衝撃的なのは、ジェラルドの死体を野犬が食べるシーンだ。

犬は人間を食べるのだろうか。手錠につながれ目の前で愛する夫の死体が犬に食べられるのをただ眺めるしかない恐怖。どうしようもない状況に陥った場合は、人は平静を保つことができないのだろう。

ジェシーが直面するのはまず水分補給の方法だ。ベッドの上で長時間過ごすと、のどが渇いてくる。水が足りないのは、何より危険な状況となる。ジェシーは死の淵をさまよいながらなんとか水を手に入れることに成功する。

水を手に入れると、そこからこんどはこの状況から脱出することを考える。満身創痍の状況から、どのようにして抜け出すのか。死の淵をさまようジェシーに様々な幻覚や幻聴が襲いかかる。幼少期に父親からされたいたずらがトラウマとなり、ジェシーに厭な記憶を呼び起こさせることになる。

ジェシーは朦朧とする意識の中で、別荘の中に何者かが入り込んでいるような錯覚を覚える。ボロボロの状態でありながら、脱出に成功したジェシー。強烈な経験をしたジェシーに警察は様々な疑惑を覚えることになる。強烈なインパクトはないのだが、ジェシーの悲惨な状況は同情をおぼえてしまう。

生命の危機をおぼえた状況から脱したジェシーの喜びはすさまじいものがある。その先にあるのは、ちょっとしたインパクトのある流れだ。ジェシーが手錠をつながれている状態のときに、実は何者かが本当に潜んでいたという、とんでもなく恐怖の状況だ。

ジェシーはとんでもなく不運だ。



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