ジプシーにようこそ! 


 2021.12.18      ジプシーとはどういった存在なのか 【ジプシーにようこそ!】

                     
ジプシーにようこそ! 旅バカOL、会社卒業を決めた旅 (幻冬舎文庫) [ たかのてるこ ]
評価:3
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■ヒトコト感想
たかのてるこがルーマニアを旅しジプシーと出会う。正直、ジプシーの定義を知らなかった。本作を読んで、ジプシーはどういったものかがわかった。序盤ではジプシーの、他人のモノでも共有する部分や金にがめつい部分などが描かれており、あまり良いイメージではない。それが後半では、家族のように過ごし、ダンスやパーティを共にすることで良さが伝わってきた。

持てる者からはモノを恵んでもらい、持たない者には施しを与える精神なのだろう。もう一つの驚きとしては、ジプシーは明らかに時間の流れが速いという部分だ。十代中盤で結婚するのが当たり前。40歳ではおばあちゃんとなる家族構成。そこだけ何十年も昔の時代のような雰囲気だ。

■ストーリー
憧れの旅の民・ジプシー(ロマ民族)と出会うべく、東欧・ルーマニアへ!だが、せびられ、襲われ、ころころ変わる言動に振り回されっぱなし。そんな時に辿り着いた心優しきジプシーのおばあさんの家。「今、このとき」を大事に生きる、自由で自信に溢れた彼らと過ごすうち“旅人OL”てるこの心に決意が芽生え―。痛快怒涛の傑作紀行エッセイ。

■感想
ジプシーとはどのような存在なのか。ジプシーは流浪の民というイメージだ。ルーマニアで生活するジプシーは言葉も特殊で、インド系の見た目をしているらしい。ジプシーとそれ以外は明らかに見た目で判断できるらしい。作者であるたかのてるこが、ジプシーと交流する。

今までと異なり、言葉が通じないというのはかなりのハードルとなるようだ。コミュニケーション不足から行き違いがあり、タクシーで金を余計にとられたり、お土産に持ってきたおかしを全て住人に取られたり。序盤はさんざんな目にあっている。

中盤からは、ジプシーと深く交流し家に泊まったりもする。相変わらずの驚きだが、作者は突然伝説のダンサーに会いに行くためにどんな村かわからない場所へ向かう。宿も予約せずに向かう。そこでは宿泊できるかわからない状態のまま、地元民に泊めてもらっている。

金にがめつい印象のあるジプシーだが、困っている人に対しては積極的に施しを行うようだ。ジプシーのおばあちゃんと仲良くなった作者は、まるで親子のような交流を続ける。言葉がそこまで通じなくともジェスチャーだけでなんとかなるのがすばらしい。

ジプシーの生活の中で一番驚いたのは時間の流れが速いということだ。特に結婚するのがめちゃくちゃ早い。極端な例では、9歳と10歳で結婚したパターンが登場してくる。40歳ではおばあちゃんとなり、孫がいる状態となるのも普通のようだ。日本で考える40歳とジプシーの40歳は異なるようだ。

若々しいおばあちゃんというよりは、40歳であってもおばあちゃん風な風貌となるようだ。過酷な生活環境であることは間違いない。そのため、協力し合ってお互いが生活しているというのがうかがい知ることができた。

ジプシーとはどういった人々なのか、少しだけわかった気がした。



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