人生はビギナーズ


 2018.3.12      父親がゲイだとカミングアウト 【人生はビギナーズ】

                     
人生はビギナーズ [ ユアン・マクレガー ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
75歳の父親が息子に向かって突然告白する。「私はゲイだ」。これは衝撃だ。母親が死んだタイミングで今まで言いだせなかった父親の思いを忖度する余裕はなく、息子としてはただただショックでしかないのだろう。父親がガンを宣告されてから、自分の生きたいように生きるためにカミングアウトする。その結果、父親の元に若い恋人がやってくる。

息子としてはモヤモヤとした気分になるだろう。今は亡き母親の心境を想うと落ち着いてはいられない。自分自身も父親の影響を受け、人生を謳歌しようとする。女優のアナと付き合い始めてから、オリヴァーはしだいに父親のことを許せるようになってくる。死を間近にひかえた父親のカミングアウトは、受け入れるしかないのだろう。

■ストーリー
「私はゲイだ」 父が75年目に明かした真実が、僕の人生を大きく変えた。アートディレクターのオリヴァーは、愛に臆病な内向的で真面目な38歳独身男。ある日、44年連れ添った妻に先立たれ、自らもガンを宣告された父ハルから、ゲイであることを告白される。

厳格だった父の突然のカミングアウトに戸惑いつつも、病に立ち向かいながら新たな人生を謳歌し始めた父と語り合い、少しずつ距離を縮めていくオリヴァー。やがて父との永遠の別れを経て、大いなる喪失感を抱えたままの彼の前に、フランス出身の女優アナが現われる。互いに人と距離を置きながら生きてきた似たもの同士の2人は、ほどなく恋に落ちるのだったが…。

■感想
母親が死んだタイミングで父親がゲイだとカミングアウトする。それを聞かされた38歳独身で内気なオリヴァー。父親が若い男を連れ込むことを目の当たりにして、混乱するオリヴァー。欧米ではゲイだということをカミングアウトするのは普通なのだろう。

ゲイを受け入れる素養があるにせよ、今までストレートだと思っていた父親が実はゲイだというのは、息子からするとかなり衝撃的だ。日本であれば、ゲイ社会は認知されていないので、もっと大問題となり、内に隠して周りにバレないようにするだろう。

父親は余命わずかだとしても、今の生活を楽しもうとする。ゲイ社会のしきたりはよくわからない。内気なオリヴァーには耐えられない状況なのかもしれない。恋人である女優のアナとの関係はうまくいってはいるが、父親がゲイだということにどのような思いでいるのか。

父親が死んだあとに、恋人を募集する手紙を見つけるオリヴァーとアナ。赤裸々な父親の手紙を見ても、そのことを許せるのはふたりが成長した証なのだろう。ゲイの父親の活動を温かく見守ることができるまでになるのは、相当な試練のはずだ。

父親がゲイだと知った時、息子としてはどうするのが正解なのだろうか。短絡的に拒否するのではなく、また、今まで騙されていたと怒るわけでもない。もし、自分がオリヴァーの立場だったらと考えた時、人はどのような態度をとるのだろうか

人との距離をおいて人と付き合ってきたオリヴァーだけに、なおさら父親との関係に悩むのはよくわかる。ハッピーな結末が待っているわけではないのだが、希望のもてる流れであることは間違いない。

自分の死が間近に迫った時、人は自分の思い通りに生きたいと強く思うのだろう。



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