ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界


 2018.3.21      痛すぎる青春の代償 【ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界】

                     
ジンジャーの朝 さよなら、私が愛した世界 [ エル・ファニング ]
評価:3

■ヒトコト感想
幼馴染のジンジャーとローザの物語。反抗期の二人の美少女が宗教、政治、ファッションに傾倒する。全体的に暗い物語だ。子どもから大人へ成長途中の中途半端感があり、親子でお互いを傷つけあう。ジンジャーは母親には反発し、父親には好感をもつ。ローザはジンジャーの父親に興味をもち…。

原子爆弾への反対運動や、政治的なデモ組織に参加したり。非常に危うさを感じてしまう。そして、ラストの結末は強烈に暗い。何か救いがあればよいのだが…。幼馴染で一番の親友と思っていた子に裏切られる思い。ジンジャーとローザの関係は少しの変化で崩れ落ちそうなものだ。反抗期だからという理由だけですまされるものではない。強烈に暗い物語だ。

■ストーリー
同じ病院の隣のベッド同士で生まれ、幼なじみでずっと一緒に育ったジンジャーとローザ。まだビートルズもヌーヴェルヴァーグも来ておらず、2人は学校の授業をさぼって宗教、政治、ファッションについて語り合い、ヒッチハイクをして男の子と遊んだり、煙草を吸ってみたり、アルコールを試してみたりと、少女から大人へ変化する青春時代を満喫していた。

しかしローザは自由奔放で、ジンジャーはそんな彼女についていこうとしてあれこれ試したりするがうまくいかず、1人で詩を書くなど、少しずつ2人の間には溝が出来始めていく…。

■感想
親同士が知り合いで、子供も同じ病院で生まれたジンジャーとローザ。子どもから大人へ成長する段階の反抗期にさまざまな行動をとる。学校に行かずタバコを吸ってみたり、アルコールを試してみたり。最初は反抗期独特の可愛い反抗だったのが、だんだんとエスカレートしていく。

原爆反対のデモに参加したり、ジンジャーの父親のアウトローな雰囲気に飲み込まれてみたり。もはやジンジャーの家庭は崩壊している。父親は浮気と思想にかぶれ、母親は若くしてジンジャーを生んだことを後悔する。

ジンジャーとローザはお互いの家族の問題から避けるために、ふたりで行動していた。それが、ジンジャーの父親にローザが興味をもちはじめてから、物語はおかしな方向へと動いていく。ジンジャーの父親が、まさか自分の娘の同級生に手をだすとは驚きだ。

それを知ったジンジャーの衝撃はすさまじいものがあるだろう。ここから暗い物語としてひたすら光のない場所へとすすんでいく。エスカレートする父親とローザの関係。ついには耐えきれなくなったジンジャーが母親にそのことを告げるのだが…。

少女の青春時代の経験としてはディープすぎる。ジンジャーとローザに同情すべき環境はあるのかもしれないが、自業自得のようにも思える。少女たちの輝くような青春時代は、一瞬まばゆいばかりの輝きを放つのだが、すぐさま暗黒の時代に突入してしまう。

それぞれの両親たちも、子供たちをもて余しているのがよくわかる。ある意味ジンジャーたちよりも、周りの大人たちに問題があるのだろう。唯一ジンジャーの思いを理解していたのは、叔父夫婦だけというのは悲しすぎる。

ジンジャーの家庭環境には同情すべきものがある。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp