ジャック・サマースビー


 2021.2.22      理解できないジャックの最後の選択【ジャック・サマースビー】

                     
ジャック・サマースビー
評価:3

■ヒトコト感想
戦場で死んだと思われた夫が帰ってきた。妻は別の男と再婚する約束までしていたのだが…。帰ってきた夫を向かい入れる妻。夫のジャック・サマースビーとは6年ぶり。まるで別人のように穏やかな表情で帰ってきたジャックに妻や村人たちは困惑するのだが…。妻だけはジャックが別人になっていると気づく。

それでも平穏を取り戻すために黙っている。ここでポイントなのは、ジャックが有能で良い夫だということだ。ジャックは村人たちを率いて改革するリーダーシップを見せ、村はジャックのおかげで潤うのだが…。ジャックに殺人の容疑がかけられてしまう。衝撃なのは、ジャックは自分が生きることよりも、ジャックとして死ぬことを選ぶ場面だ。ラストの法廷の場面は強烈だ。

■ストーリー
戦地から戻った夫が別人と判った時、妻は初めて真実の愛を知った。1890年代後半のアメリカ南部。戦争のために村を出た夫ジャック・サマースビーが、6年振りに帰ってきた。戦死したと思っていた男の帰還は、妻をはじめ、村人たちに動揺を引き起こす。しかも、彼はかつての粗野で残忍な性格を潜め、まるで別人のように振る舞う。そんな彼が昔の殺人の罪で逮捕される。法廷でサマースビーの妻は「夫ではない」と証言する…果たして、彼は誰なのか。

■感想
帰ってきたジャックに困惑する妻。ただ、妻はジャックが偽物だとすぐに見破ってしまう。ジャックはそのことにうっすらと気づきながらも…。村人たちは困窮する村を救うためにジャックが出した案に協力することになる。

ここでジャックのリーダーシップと能力の高さが表現されている。子供にも優しく村人からも人望が厚い理想的な夫であるジャック。この段階で、妻はジャックがまるっきり別人だと気づきながらも平穏な暮らしを選ぶためにジャックを受け入れている。

昔のジャックは粗暴で妻にも暴力をふるうようなダメ人間だった。別人のジャックは素晴らしい夫であり、周りからも慕われる存在となる。ジャック自身の思いについては、中盤まで特に語られることはない。村人の一部はジャックが偽物だと気づくのだが…。

ジャックが自分の存在を少しだけ表現する場面がある。この段階で、ジャックは妻に偽物だと知られながらも、そのことを問われないことに違和感を覚えているようだ。このお互いの思いが交錯する場面が本作のメインなのだろう。

ジャックは殺人の容疑で起訴される。ジャック自身が自分は偽物だと言えば、死を免れることができる。妻も、ジャックが偽物だと法廷で証言するのだが…。数々の証拠によりジャックは偽物で決まるのかと思いきや、ジャック自身が自分は本物と言い続ける。

これは、自分が偽物としてこの先生きるよりも、ジャックとして死ぬことを選ぶということだ。まずこの考え方が理解できなかった。偽物とはいえ、妻は偽の自分を愛すると言ってくれたにも関わらず…。

ジャックの最後の選択だけが理解できなかった。



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