2018.7.1 死の直前に青春時代の思い出にひたる 【いつか眠りにつく前に】
いつか眠りにつく前に クレア・デインズ
評価:2.5
■ヒトコト感想
死ぬ前に自分の人生を思い出す類の物語だ。老婦人アンが自分の人生を振り返る。セレブの社会で恋をしてはいけない相手に恋をしてしまう。老婦人の現在と回想が交互に語られる本作。アンの人生についてはそれなりに幸せだとわかる。ただ、アンと親友のライラ、そしてライラの弟のバディ、そしてライラの家に住み込みで働く女の息子であるハリス。
ライラは昔からハリスに恋い焦がれていた。そして、アンもひそかにハリスに対して恋い焦がれている。この三角関係のように思われる中で、バディはアンに対して恋する気持ちがあるようだ。モテモテのハリスに嫉妬するバディ。アンの娘たちの現状をふまえた、人生を回顧するような物語となっている。
■ストーリー
死の床にある母とその娘たちとの心の交流を美しく描いた感動作!人生の最期を迎える老婦人アンを枕元で見守る二人の娘。混濁したい意識の中でアンは、娘たちの知らない男性の名前を何度も口にする。意識と無意識の狭間を漂うアンの記憶は、1950年代のある週末の出来事へと遡っていく…。
■感想
弱り明日死ぬかもしれない状態の老婦人のアン。アンは自分の若いころを思い出し、そのことを娘たちに告げる。セレブの生活を続ける中で、アンは親友のライラが結婚することを祝おうとする。セレブゆえにアンとその周りには華やかな印象がある。
幼馴染のアンとライラ。お互いのことをよく知る二人は、ライラの初恋の相手がハリスだと知る。アンもハリスのことが気になっている。アンとライラに恋されるハリスはとてつもなく紳士だ。使用人の息子という立場をまったく感じさせない、性格までイケメンの男だ。
ライラの弟であるバディは明らかにアンに恋をしている。ただ、アンには相手にされていない。そして、アンがハリスに恋心を抱いていることに気づいてしまうバディ。バディの心境はとてつもなく苦しい状況だろう。ハリスのことは小さいころからよく知っている。
よい男であることも知っている。自分がハリスよりも劣っていることも知っている。そんな状況で、ライラの結婚式であってもバディは泥酔し周りに迷惑をかけたりもする。バディの立場を考えると、泥酔するのもわからなくもない。
アンは自分の青春時代の思い出を娘たちに告げる。娘たちはそれぞれ悩みや問題を抱えている。結局のところ、アンの告白を聞いた娘たちは、自分たちのパートナーのことを考え始め前向きになる。死が迫ったアンの元に、同じく老婆となったライラが訪れたりもする。
青春時代の辛い恋の悩みを乗り越え、その後別の人と結婚し平凡でも幸せな人生を過ごしている。青春の思い出に浸りたい人にはうってつけの作品だろう。バディには死が迫っているという雰囲気をだしつつ、何回か肩透かしさせるのはさすがかもしれない。
青春時代の思い出にひたりたい人におすすめ。
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