伊勢佐木町探偵ブルース 


 2021.3.10      純粋な探偵モノ? 【伊勢佐木町探偵ブルース】

                     
伊勢佐木町探偵ブルース [ 東川篤哉 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
新シリーズ。伊勢佐木町で探偵を営む桂木とその舎弟である真琴の物語だ。基本は探偵ものであり、探偵の能力として特別な何かがあるわけではない。このシリーズの特徴としては桂木の母親が再婚し、その再婚相手が神奈川県警の本部長というのと、その息子が伊勢佐木署のエリート刑事ということだ。

事件の調査をする桂木は義理の弟である一ノ瀬をうまく使いながら事件を解決している。今のところ、まだ本部長と桂木は出会っていない。シリーズとして本部長との出会いなどが面白ポイントとなるのだろう。探偵ものとして、特殊なトリックがあるわけではない。ユーモア全開な物語となっており、事件はシリアスな流れとはならない。シリーズとしては続いていくのだろう。

■ストーリー
横浜の老舗商店街・伊勢佐木町にひっそりと事務所を構える私立探偵・桂木圭一。時代遅れなスカジャンを愛用する舎弟・黛真琴を引き連れて、港町で起きる重大(?)事件の調査を生業にしている。ある日、知らぬ間に再婚していた母親の新居を訪ねると、そこは山手の大豪邸。お相手はなんと神奈川県警本部長で、しかもその息子は伊勢佐木署のイケ好かないエリート刑事だった…!やたらと現場で鉢合わせる義兄弟、このビミョーな関係一体どうなる!?

■感想
「過ちの報酬」は、桂木が迷い猫を探す依頼を行うのと並行して、独居老人の殺害事件を一ノ瀬が追いかけている。このふたりの出会いと、まったく無関係と思われたふたつの事件が実はつながっていたことが判明する。

桂木の勘違いで依頼者に対して猫は死んでしまったと報告する。そこから、スキンヘッドの強盗の容疑者が狙われることになり。。。登場人物を紹介する雰囲気が強いのだが、桂木と一ノ瀬はそれぞれが能力が高いというのが分かる物語だ。真琴だけが、ただのおっちょこちょいなチンピラ扱いとなっている。

「尾行の顛末」は作者の他作品でも使われていたトリックだ。弟の女関係を調べてほしいという依頼が桂木に入ってきた。実際には弟は女と付き合っていたのではなく、弟が女装をしていたといオチだ。ただ、これは準備段階にすぎず、その後の事件のトリックとしてこの女装が使われている。

基本的には桂木が調査した弟の女装と、別の殺人事件の繋がりはない。ただ、一ノ瀬と桂木が義兄弟の関係にあるために、お互いの情報を共有することにより事件が解決していく。

「家出の代償」は家出した少年が持っていた音楽プレイヤーがカギとなる物語だ。家出少年の捜索を行うのが桂木探偵事務所で、家出少年の祖父が殺された事件を追いかけるのが一ノ瀬だ。殺害事件が起こる直前に家出少年が祖父の家にいたことで、容疑者としても捜査線上に家出少年が浮かび上がっている。

桂木と少年のちょっとした絡みと、一ノ瀬がそこに張り込むことで事件は加速度的に解決していく。音楽プレイヤーを犯人が気にする理由など、割と単純なのですんなりオチが想像できるかもしれない。

東川篤哉の新シリーズがスタートした。



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