インターセクション


 2018.9.24      それぞれの思惑が交錯する 【インターセクション】

                     
インターセクション [ ジェイミー・アレクサンダー ]
評価:3.5

■ヒトコト感想
砂漠のど真ん中で事故が発生し、そこに居合わせた者たちが得体のしれない駆け引きを繰り広げる。ある女は愛人と共謀し夫を殺そうとした。ある男はインターポールに護送されている途中で、事故のどさくさに紛れ何食わぬ顔をして逃げ出そうとする。ある男は、知り合いの女の仇をとりにきた。それぞれが事情を抱えており、それが後半まで明らかにならない。

秀逸なのは、よくわからないまま、自分の利益になるようにそれぞれが行動するシーンだ。観衆だけがその意味を知る。後半になると怒涛の展開がまっている。最も印象的なのは、夫をだまして金を手に入れようとする悪女だ。結局のところ因果応報で報いを受けることになるのだが…。無名な作品だが、意外な良作だ。

■ストーリー
モロッコに新婚旅行で来ていた夫婦が、砂漠の真ん中で、背後の車に追突される。そこにはなんと愛人が乗っていたのだ。 修理中だったバンにも激突し、やがて砂漠のど真ん中に取り残された5人。最寄の民家までは30㎞。灼熱の太陽の下、協力しながら脱出を図ろうとする、見ず知らずのはずの5人…。 しかし、ダイヤモンドの存在が明らかになった時、駆け引きと裏切りは加速し、思いもよらぬ人間関係が浮上していく…。最後に生き残るのは、一体誰か。

■感想
砂漠のど真ん中で複数の死者を出す事故が起きた。生き残った者たちはお互いの素性をよく知らないまま、生きるために協力するしかない。まずは、女が愛人と共謀して夫を殺そうと考え、カーチェイスの最中に事故が起こってしまう。

秀逸なのは、実はその場には凶悪な犯罪者と護送中のインターポールもいたということだ。犯罪者は事故のどさくさにまぎれ警察を殺害する。そして何食わぬ顔をして事故の被害者としてふるまう。その他にも何か秘密がありそうな者たちばかりが集まっている。

砂漠からの脱出を図ろうとしたのだが…。そこでダイヤの原石の存在が明らかとなる。愛人と共謀して夫を殺そうとした女は、すべてが夫にバレていたことに驚き、怒りを爆発させる。その後は、犯罪者へと近づき、犯罪者がもつダイヤの原石を手に入れようとする。

ほぼすべての者たちが腹に一物をかかえている。誰も信用ができない状況かもしれない。砂漠のど真ん中で裏切りの連続。そして、次々と人が死んでいく。誰もが秘密を抱えており、秘密が明らかとなると、今までとってきた行動に納得がいくようになる。

最後に残るのはいったい誰なのか。夫婦はお互いを騙しながら、どうにかして出し抜こうとする。本作で最も印象が悪いのは、間違いなく夫を殺害しようとした妻だ。途中で計画がバレても開き直り、新しいパートナーを探そうとする。

夫の資産を盗み出し、そのままモロッコを抜け出そうとするのだが…。誰に感情移入するというのはないのだが、ラストの流れはなんとなくだが爽快だ。明確に良い人物、悪い人物というのはない。それでも、相対的にマシな人物が生き残っているのがよい。

意外な良作だ。



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