陰謀のセオリー


 2021.9.6      シェリーのサイコっぷりがすさまじい【陰謀のセオリー】

                     
陰謀のセオリー[ メル・ギブソン ]
評価:3

■ヒトコト感想
タクシードライバーであるジェリーが精神科医であるアリスへの執着を見せる。中盤まではジェリーはアリスのストーカー風なそぶりがあり、ジェリーの口走る言葉がそのままサイコな雰囲気を醸し出している。自分は陰謀に巻き込まれており、誰かに狙われている。常に盗聴されていることを気にするジェリー。観衆は明らかにジェリーの異常さばかりが気になってしまう。

アリスのジェリーをあしらうそぶりを含め、ジェリーの異常者としての雰囲気が強くなる。そこから、実はジェリーの言うことがすべて正しかったというオチとなる。中盤までのジェリーの異常性はサイコだとしてもやりすぎ感があったので、それらがすべて真実ということは衝撃的だ。アリスがジェリーを信じるきっかけになる出来事も強烈だ。

■ストーリー
ニューヨークのタクシードライバー、ジェリー・フレッチャーは、毎日、乗客たちに世界に満ちあふれた「陰謀」 を休みなく語り続けていた。そんな彼には、過去の記憶がない。ただ、アリス・サットンを守るという使命と"ジェロニモ"という謎の言葉だけが脳裏に焼き付 いていた…。いったい彼は誰なのか。なぜアリスを守るのか。彼女にはどんな危機が迫っているのか。やがて謎は、一つ一つ現実の恐怖となって2人に襲いかかる。大ヒットメーカー、リチャード・ドナー&ジョエル・シルバーが手がけたサスペンス大作。

■感想
タクシーに乗り、毎日部屋の内部で運動したり歌うアリスを覗き見するジェリー。定期的にアリスと面会するジェリーは明らかにストーカーか異常者だ。国家の陰謀に巻き込まれ狙われていると口走るジェリー。アリスは軽くあしらうのだが…。

ジェリーがサイコパスでアリスをつけ狙うパターンの映画があったとしても成立する流れだ。強烈なのは、ジェリーの部屋の中にアリスが入る場面だ。何もかもがカギで施錠され簡単にものが取り出せなくなっている。部屋の壁には新聞記事の切り抜きがびっしりと張ってあり、あげくは幼少期のアリスが馬にのる写真が飾られている。

ジェリーの部屋に入った瞬間に、誰もがジェリーの異常さに恐怖するだろう。ただ、その場ではアリスは冷静でいる。その理由としては…。血まみれのジェリーが襲われ拉致され殺されそうになったと叫ぶ。相手の鼻に噛みついたことにより逃げ切ったという言葉をつぶやく。

ただの精神異常者の戯言かと思いきや…。病院には謎の男たちがジェリーを探しにやってくる。そのボス的な男の鼻にはガーゼが張られている。犬に噛まれたということだが…。この流れが秀逸だ。噛みついた犬を処分するという男もまた強烈だ。

ジェリーがアリスに執着した理由が明らかとなる。実はアリスの父親はある組織により殺されていた。ジェリーは組織が作り上げた殺人マシーンだったのだが、記憶を無くしていた。ジェリーが必死に行動してきたのはすべてアリスを守るためだった。部屋の内部がちょっとヒモを引っ張るだけで瞬く間に燃えてしまう。それでいて部屋の外には一切被害がない。

全て考えられた仕掛けだった。ジェリーは無自覚に、自分に迫る危機を予見していたことが強烈だ。

中盤までのジェリーのサイコっぷりがすさまじい。



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