イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密


 2018.4.8      コンピュータの原型を作った男 【イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密】

                     
イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 [ ベネディクト・カンバーバッチ ]
評価:3.5

■ヒトコト感想
暗号エニグマを解析した男の物語。今でいうところの発達障害に近いタイプの天才数学者アラン・チューリング。協調性がないが数学の能力は天才的。膨大なパターンを解析しなければ暗号を解くことができない。それも毎日パターンが変わる。チューリングがとった方法とは…。暗号を解読するためにチューリングがとったプロセスと、仲間たちとの関係が描かれている。

周りも変わり者ぞろいだが、群を抜いて変わっているチューリング。仲間と協力しエニグマを解くための流れがすばらしい。決定的なヒントを得た時のワクワク感はすごい。さらには、チューリングが作り上げたマシンが、コンピュータの原型となったというのもかなり衝撃的だ。そして、実話に基づいているのもすばらしい。

■ストーリー
第二次世界大戦時、ドイツ軍が誇った世界最強の暗号<エニグマ>。世界の運命は、解読不可能と言われた暗号に挑んだ、一人の天才数学者アラン・チューリングに託された。英国政府が50年以上隠し続けた、一人の天才の真実の物語。時代に翻弄された男の秘密と数奇な人生とは―?!

■感想
解読不可能と思われた暗号エニグマを解読することに心血を注いだチューリングの物語。前半はチューリングの特殊さが描かれている。数学に強いが人間的な忖度はない。腹は減っていないか?という問いかけが一緒に昼食に行こうという誘いに繋がらない。

チューリングに対しては、はっきり言葉にしなければならない。まさに今でいうところ、とっつきにくい天才タイプの人間だ。そんなチューリングでもエニグマの暗号の設定を12時間で解読するのは難しい。毎日変わる暗号の設定を、その日のうちに見つけ出さなければならない。

チューリングは、最初は仲間と協力体制が作れていないが、しだいに協力しエニグマを攻略することを目的に一致団結する。地道に暗号を解読するのではなく、マシンを使って大量のパターンの中から一致するパターンを探しだす。

それはまさに今のコンピュータの原型を、チューリングは作ろうとしていたということだ。非常に大掛かりなシステムを使ってもエニグマを解読できない。八方ふさがりの状態から、ひとりの女性のひと言が起死回生のアイデアが生まれてくる。

エニグマを解読できる瞬間の熱量はすさまじい。それでいて、その先にもしっかりと考えて行動するチューリング。ただ、戦争を終結させるほどの大きな成果をだしたにも関わらず、その任務の特性上、チューリングの成果は隠されることになる。

チューリングの晩年は、その成果に比べるとあまりにも悲しすぎる。時代的な問題もあるのだろうが、今のコンピュータの原型を考え出した者にしては、悲しすぎる結末だ。同性愛者というだけで罰せられる世の中というのがかなり異質に感じられた。

エニグマを解読するプロセスはすこぶる面白い。



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