ほえる犬は噛まない


 2021.12.19      飼い犬が犬鍋にされる恐怖【ほえる犬は噛まない】

                     
ほえる犬は噛まない [ ペ・ドゥナ ]
評価:3

■ヒトコト感想
巨大なアパートを舞台とした作品。序盤では子犬の鳴き声がうるさくストレスに感じていた男ユンジュが、子犬を捕まえて殺そうとする。いきなり可愛らしいマルチーズを捕まえ、アパートの屋上から落とそうとする。それができないとなると、アパートの地下室で監禁してしまう。強烈なのは韓国に犬を食べる習慣があるということだ。

警備員が犬鍋を作る。地下室に不法に住んでいるホームレスは、犬を串刺しにして焼いて食べようとする。韓国でも異質な人々、という描かれ方をしてはいるのだが…。アパートの管理事務所で働くヒョンナムが退屈な日常から抜け出すためにあがいているのがよくわかる作品だ。ヒョンナムの可愛さはあるのだが、物語は結構残酷だ。

■ストーリー
中流家庭の人々が住む閑静なマンション。飼うことを禁止されているはずの犬の鳴き声がマンション内に響き渡り、うだつの上がらない大学の非常勤講師ユンジュ(イ・ソンジェ)はイラついていた。やがて起きる小犬失踪事件・・・。一方、マンションの管理事務所で働くヒョンナム(ペ・ドゥナ)は平凡で退屈な毎日を送っていた。そんな時、団地に住む少女の愛犬ピンドリがいなくなったと知り、小さな正義感に火がつきビラ貼りを手伝い始めるのだった…。

■感想
大学院まで出ているが就職できずに無職のユンジュ。妊娠中の奥さんが働いているのだが、ユンジュはストレスを抱えているというのが明らかにわかる。ちょっとした子犬の鳴き声にも敏感になり、捕まえて殺そうとする。衝撃的なのは、屋上から子犬を手に持ち、今にも手を離しそうになる場面だ。

序盤でユンジュは子犬を殺そうとしたが、最後の最後で躊躇してしまう。それが後半では、おばあさんが仲良く散歩していた子犬を盗みだし、そのまま屋上から投げ捨ててしまう。さすがにこの場面は強烈すぎる。

ヒョンナムはユンジュが住むアパート管理事務所で仕事をしている。明らかに暇をもて余していたり、仕事にやる気がない。偶然、男が屋上から犬を投げ捨てる場面を目撃したヒョンナムは男を追いかける。印象的なのは犬を探すおばあさんが、張り紙をしている場面で、ヒョンナムがおばあさんに犬の死体をみせる場面だ。

何もそこまで、という思いが強い。皮肉にも、その後では、ユンジュの妻が飼っていた犬をユンジュが見失ったため、ユンジュ自身が張り紙をしている場面だ。

ヒョンナムとユンジュは出会う。子犬を今まで殺してきたユンジュが自分の犬を探す。韓国の文化として犬を食べるというのがあるので、地下室でホームレスが犬を食べるために準備している場面は強烈だ。

犬を、まるでニワトリを締めるように切り刻むのだろう。犬鍋や犬をそのまま丸焼きにして食べるというのが強烈だ。そのものずばりの場面を描いていいないので、韓国でも犬を食べることについては抵抗があるのだろう。可愛いマルチーズを食べようとする場面は強烈だ。

ヒョンナムの、仕事に身が入らない怠惰な日常は面白い。



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