半世界


 2021.1.28      田舎の濃密な人間関係【半世界】

                     
半世界/稲垣吾郎
評価:3

■ヒトコト感想
備長炭を製炭して生活する紘。元自衛官の瑛介、中古車屋の男。この3人の田舎生活がメインに描かれている。紘の息子・明との関係や、瑛介が自衛官をやめて地元に帰ってきた理由などがミステリアスに語れている。炭を作ることの大変さを通して、田舎暮らしをする者たちの人間関係が強調されている。

明についてはイジメをうけており、瑛介の荒っぽい反撃の仕方に次第に感化されたりもする。田舎でありがちな、悪ガキたちがそのまま大人になったような3人。瑛介の過去を知り、紘たちは変わっていく。そして、紘は家族と向き合うことを決意するのだが…。地元から動かない人間というのはこんな感じだなぁ、と感じずにはいられない。田舎の者たちの絆の強さを感じさせる物語だ。

■ストーリー
「こんなこと、ひとりでやってきたのか」。山中の炭焼き窯で備長炭を製炭し生計を立てている紘は、突然帰ってきた、中学からの旧友で元自衛官の瑛介から、そう驚かれる。何となく父から受け継いだ紘にとって、ただやり過ごすだけだったこの仕事。けれど仕事を理由に家のことは妻・初乃に任せっぱなし。それが仲間の帰還と、もう一人の同級生・光彦に「おまえ、明に関心もってないだろ。

それがあいつにもバレてんだよ」という鋭い言葉で、仕事だけでなく、反抗期の息子・明にも無関心だったことにも気づかされる。やがて、瑛介の抱える過去を知った紘は、仕事や家族と真剣に向き合う決意をするが…。

■感想
物語のポイントとしては親に反抗する中学生の物語と言えなくもない。また、自衛官として出世していた男が、なぜ突然田舎に帰ってきて引きこもりのような状態になったかのミステリーもある。中盤では瑛介が戻ってきたことで同窓会のような雰囲気すらある。

田舎の濃密な人間関係なのだろう。家族ぐるみの関係ではあるが、紘の息子である明についてはみなが扱いに困っている。明はイジメを受けているが、突如としてイジメっ子たちに反撃したりもする。ちょっと情緒不安定な部分がある。

紘は炭を作る仕事を父親から継いだのだが、その仕事の大変さがこれでもかと描かれている。今どき炭にどれだけ需要があるのか。高級料亭やホテルに炭を売り込むのだが、なかなか契約がとれない。そればかりか、父親の時代から納品していた店から納品量を減らすと言われる。

実入りの良くない仕事ではあるが、紘はプイライドをもって作業をする。それを手伝うのは肉体労働には強い元自衛官の瑛介だ。元自衛官らしく明にイジメられた場合の反撃の仕方を教えたりもする。

3人の濃密な関係は見ていて楽しくなる。まさに親友という感じだ。中古車屋にチンピラが因縁を付けに来た際には、瑛介が助っ人に入り、切れてしまい周りのチンピラたちをボコボコにしてしまう。瑛介が地元に戻ってきた理由も判明する。

タイトルの半世界というのは、田舎で生活する者たちは世界の半分しか知らないという意味らしい。それでも瑛介は田舎に戻り、ひたすら肉体労働をする。ラストでは紘が作業中に倒れてしまい、そのまま死んでしまう。

エンディングで明がボクシングを練習しているシーンが非常に印象的だ。



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