2021.10.4 若い新兵たちの戦場での悲哀【ハンバーガー・ヒル】
ハンバーガー・ヒル[ アンソニー・バリル ]
評価:3
■ヒトコト感想
ベトナム戦争での末端の兵士たちの悲哀を描いた作品。激しい戦闘で、ついさっきまで隣で話をしていた仲間が、次の瞬間にはバラバラになっている。そんな過酷な状況に追いやられた兵士たちの人間模様が描かれている。戦場へやってきた新兵たちの困惑や、上官から無茶な依頼をされるなど、悲惨な状況が描かれている。
ハンバーガーヒルという丘を舞台にした激しい戦争映画だ。悲惨なのは、本部へ戦闘ヘリでの攻撃を依頼したのだが、味方が必死に丘の上を登っている場所を激しく攻撃されたりもする。味方から撃たれるような混沌とした戦場に来た若者たち。自分の境遇を嘆くでもなく、早くここから抜け出し故郷で暮らすことを話をしているのを見ると悲しくなる。
■ストーリー
幸福な者だけが生還できる地獄の戦場。1969年、ベトナム戦争の激戦地区、兵士たちが次々と“ミンチ”にされていく程の悲惨な戦況から“ハンバーガー・ヒル”と呼ばれた丘を舞台に、二十歳そこそこの若者たちが繰り広げる死闘の物語を描いた戦争ドラマ作品。
■感想
ベトナム戦争に参加した若い兵士たちの物語。ハンバーガーヒルというベトコンが守る丘を攻略する必要がある。新兵は勝手がわからず困惑しながら、戦場へと向かう。物資が潤沢にあるわけではないので、ひもじい思いをしながら戦い続ける。
靴下の代えがなく、泥で真っ黒になった靴下を再び履くシーンは印象的だ。兵士たちはタバコを吸いながらくだらない会話を続ける。そこには黒人も白人もない。自虐的に黒人だから戦場にきているという者もいるのだが…。
上官に命令されるまま様々な戦地へ向かう兵士たち。ハンバーガーヒルの戦いでは、急こう配の丘を攻略する際に、ベトコンたちの激しい抵抗にあい苦戦する。アメリカ軍側の視点なので、ベトコンたちの恐ろしさが強烈に描かかれている。
死んだと思われた兵士が、突如として蘇り銃剣で刺してくる。どちらも実はボロボロなのだが、アメリカ兵だけが苦戦しているように見えてしまう。なかなか丘を攻略できないことで上官から叱責されたりもする。現場を知らない上官の勝手なものいいというのは怒りがわいてくる。
電話で本部と連絡をとる上官の近くで爆発が起こる。激しい戦場では爆発など当たり前なので、気にせず電話をし続けるが、上官の右手がなくなっている。部下が慌てて上官にモルヒネを注射するシーンは印象的だ。ついさっきまで仲良く話をしていた戦友たちが、次の瞬間には肉の塊になっている。
恐ろしいのはそのことが日常であり、特に悲しみもわいていないということだ。戦いを終えた兵士の元に軍の広報がやってきて取材をしようとするのだが…。軍曹の逆鱗にふれてしまう。
若い兵士たちのやるせなさが伝わってくる作品だ。
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