ハドソン川の奇跡


 2019.5.30      機長の判断は正しかったのか?【ハドソン川の奇跡】

                     
ハドソン川の奇跡 [ トム・ハンクス ]
評価:3.5

■ヒトコト感想
実際に起きた出来事を描いた本作。墜落しかけた飛行機を無事に川に不時着させるという荒行をやってのけた機長が、ヒーロー視される裏側ではどのようなことが起こっていたのか。国家運輸安全委員会からエンジンの故障はなかっただとか、空港に戻れたのではないか?とまで言われ、世間一般の評価とは真逆の状況となっている。

機長自身も自分が行ったことが正しかったのか、自信がもてなくなり、その先では墜落する夢を見る状態になる。衝撃亭なのは、あらゆるシミュレーションをして空港に引き返すことができたのではないか?という聴聞会だ。ここで機長と副機長は反論するのだが…。極限状態で自分の判断が正しいかどうかが不安になる物語だ。

■ストーリー
155人の命を救い、容疑者になった男​2009年1月15日、厳冬のニューヨーク。160万人が住むマンハッタン上空850メートルで突如制御不能となった飛行機を、ハドソン川に不時着させ、“乗員乗客155名全員生存"という驚愕の生還劇を成し遂げたサレンバーガー機長。だが奇跡の裏側では、その判断をめぐり国家運輸安全委員会の厳しい追及が行われていた……。

■感想
バードクラッシュにより、飛行機の両エンジンが故障する。その瞬間、高度が低い中で機長はどのような判断をしたのか。管制塔からは空港に引き返せと通達されるが、機長は自らの判断でハドソン川に着水することを選ぶ。まずこのハドソン川に着水するまでの緊迫感あふれる展開がすばらしい。冒頭は、皆が助かり機長が一躍ヒーローになるという描写が続いている。

TVのトークショーではヒーローとして扱われ、周りからも有名人としてちやほやされている。

ヒーローとなった機長ではあるが、実は内心穏やかではない。飛行機を空港に戻すことはできたのではないか?や、エンジンの機能は片方は活きていたのではないか?という話まででている。機長は家族に対して、ハドソン川に着水したことを後悔したような言葉すらある。

世間の評価とは別に、自分自身が責任をとらされて失職する可能性すらある状況は辛い。なぜ、あの時に空港に引き返さなかったのだろうという強烈な後悔の念がある。

ラストの公聴会の場では、相手側はシミュレーションをして空港に戻ることに成功したと示す。しかし、それは突然起こったことによる戸惑いや確認の時間がない場合だ。あらかじめ心構えができた状態では何度か練習することでしっかりと空港に戻ることができるのだろう。

ハドソン川に着水した際に、機長は最後に脱出し、乗客全員が無事なことを確認するまで安心できない、というスタンスでいた。この流れには感動してしまう。実話をベースにしていることがすばらしい。

この流れはすばらしい。



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