グーグーだって猫である


 2020.4.25      吉祥寺が住みたい町No1の時代の作品【グーグーだって猫である】

                     
グーグーだって猫である
評価:2.5

■ヒトコト感想
吉祥寺を舞台にした物語。漫画家の小島はアシスタントとともに幸せな生活をおくっていたが、飼い猫のサバが死んでしまう。悲しみにくれ漫画が書けなくなる小島。そこで小さなアメショーのグーグーと出会う。ごく普通の猫とののんびりとした生活を描きつつも小島は恋愛めいたことにも変化がある。基本は吉祥寺を舞台とした猫とのほのぼの生活が描かれているだけだ。

アシスタントの恋愛問題や小島自身が新たな出会いがあり、ラスト間近ではガンが見つかるなど山場はいくつかある。純粋な猫の姿に癒されつつ、アシスタントたちと新しい漫画の企画に燃える小島。吉祥寺が住みたい町の上位にきていたころの作品なので、やけに吉祥寺押しが印象に残っている。

■ストーリー
吉祥寺に住む、天才漫画家の小島麻。今日も、アシスタントのナオミ、仲のいい三人組の加奈子、咲江、美智子と徹夜で締め切りに追われていた。その翌日、いつものように麻子が愛猫のサバに話しかけると、サバは冷たく動かなくなっていた―。サバを亡くした悲しみがあまりに大きく、麻子は漫画が描けなくなってしまう。そんなとき、出会ったのは一匹の小さなアメリカンショートヘアー。名前は「グーグー」。

一緒にご飯を食べて、散歩をして、寝るという、なんとも幸せな毎日。不思議な青年、青自との恋の予感、アシスタントたちと話す新作のアイディア、いろいろ色々なことがうまく動き始める。だがある日突然、麻子は思いがけないことを知らされる・・・。

■感想
ヒット漫画を描いた小島はアシスタントたちとともに充実した毎日を吉祥寺で過ごしていた。井之頭公園や吉祥寺名物のメンチカツ。サブカル感が強い店など、吉祥寺を感じさせる映像が目白押しだ。今はそこまで注目されていないが、この時代では吉祥寺は住みたい町の上位常連だった。

吉祥寺という町と、のんびりとした雰囲気がより強烈なインパクトを作品にもたらしている。漫画家としては成功した小島だが、女としての幸せは逃している。そんな小島に新たな出会いがあり、若い男といい感じになりはじめる。

飼っていた猫のサバが死に、うつ病のようになった小島だが、新たにアメリカンショートヘアーのグーグーに出会い変わっていく。このグーグーがまたよい。ごく普通の猫なのだが、愛らしい表情から目が離せない。小島はたちまちグーグーに夢中となる。

小島以外にもアシスタントたちのエピソードもある。バンドマンの彼氏に浮気され悩んでいる女。小島が漫画を描かなくなったことを悲しみながら、自分の夢である漫画家の夢を諦めきれない。小島との才能の違いを実感し、夢を諦めようともしている。

アシスタントと話をしながら小島は新作のアイデアをだす。何か前向きになった時には、何かしら落とし穴があるのが常だ。今回は、小島が卵巣がんと診断される。死ぬことはないとしてもショックは大きいのだろう。井之頭公園で楽しそうにはしゃいでいる人たちと比べると、自分は疎外されているような気持ちになるのかもしれない。

グーグーという新たなパートナーを見つけたことで、先へすすむことができたとしても体がついていかない。吉祥寺の町が妙にもの悲しく見えた。

吉祥寺が懐かしく見えた。



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