極道めし


 2020.1.13      すき焼きが最高にうまそうだ【極道めし】

                     
極道めし [ 福士誠治 ]
評価:3

■ヒトコト感想
刑務所の雑居房で繰り広げられるめしの話。好きなものが食べられない刑務所だからこそ、娑婆で食べた食事の思い出は増幅されることになる。年始のおせちを賭けて、誰が一番うまそうに食べ物の話をするかが競われる。ひとり新入りだけが、その輪に入らず孤高に娑婆の思いを回想する。

全般的にコメディの要素が強いが、ヤクザが刑務所に入るまでと、入ってから娑婆に残した女からの手紙を読むことができないくだり。そして、出所してからの状況など、急激にシリアスな展開となる。めしの話は、作中でも勝利しているが、ダントツですき焼きの話が旨そうだ。不自由な時代の話なだけになおさらそう思うのだろう。思わず、すき焼きとその後のうどんが食べたくなった。

■ストーリー
土山しげるの同名漫画を前田哲監督が映画化。刑務所の雑居房を舞台に、生活を共にする5人の受刑者が、年に1度の“おせち料理”を賭けたグルメトークバトルを繰り広げる。演技派俳優が出演。

■感想
刑務所の中でのめしはわびしい。冒頭からプラスチックの食器に入れられた質素な食事をうまそうに食べる4人の男たち。刑務所に収監されると食事が何よりも楽しみになるのだろう。古い作品だが「刑務所の仲」でも似たような描写があった。

本作では刑務所内での食事について細かな描写はない。ただ、年始に登場するおせち争奪のグルメトークバトルが描かれている。今まで食べた中で最もうまい食事の話をして皆の喉を鳴らすことができれば勝ちという変則的なトークバトルだ。

4人の男たちそれぞれに、刑務所に入ることになった理由がある。元ホストの男は同僚をボコったために収監される。その前に、逃げる際中に母親が作ってくれたシンプルな食事が一番らしい。確かに炊き立てのご飯にバターと卵を乗せてしょうゆをかけて食べるなんてのはうまそうだ。

食事の際中に警察が捕まえに来るのだが…。最後まで食事をさせてやれ!と母親が叫ぶ場面は強烈だ。元レスラーの男はスナックのママに作ってもらった大盛りオムライス+カルボナーラをうまそうに食べている。

強烈なのは新入りのヤクザのエピソードだ。彼女を邪魔者に扱いにし、あげくの果てには女を家に連れ込んだりもする。思い出のラーメンの味を思い出しながら、出所後に彼女の元に戻ってみると…。そこには結婚し子供をあやす彼女の姿があった。

ある意味想定された結末だが、妙に悲しいラストとなっている。肝心なおせち争奪のトークバトルは、牢名主の少年時代のすき焼きの話が抜群にうまそうだった。霜降りの肉を甘辛い味噌で食べる。最後には肉の出汁がでた煮汁でうどんをつくる。最高にうまそうだ。

刑務所生活を経験すると、食事に対する執着が強くなるのだろうか。。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp