ふきげんな過去


 2020.5.16      エキセントリックな伯母に影響される【ふきげんな過去】

                     
ふきげんな過去 プレミアム・エディション
評価:2.5

■ヒトコト感想
女子高生の果子の前に、18年前に死んだはずの伯母が現れた。果子はなんだかんだと日常に不満をもっている。そして、自分が母親ではなく伯母の子供だということもうすうす感じていた。そんな果子がしだいに叔母と親しくなり、伯母に影響されていく。伯母が何をやっていたのかは明確には示されない。それでも、何か学生運動だとかテロ的なものに関わっていたのではないか?というのは画面からにじみ出ている。

ある日、果子は伯母に連れられ爆弾の材料を探しにいったりもする。手作り爆弾をつくってみたり。伯母が何かとつかみどころのない行動ばかりとる。そのため、果子もどのような反応を示してよいのかがわからなくなる。テロを実行する人は、本作のようなパターンなのだろう。

■ストーリー
北品川の食堂「蓮月庵」で暮らす果子は、死ぬほど退屈でつまらない毎日を過ごしていた。そんなある日、果子たち家族の前に、突如18年前に死んだはずの伯母・未来子が現れた。戸籍も消滅している前科持ちの未来子は、自分が果子の本当の母親だというが…。

■感想
つまらない日常を過ごしている果子。北品川の小さな食堂に、突如として死んだはずの伯母がやってきた。祖母や母親たちの会話からすると、指名手配されていただとか、追われる身となっているような雰囲気がある。しなびた食堂がにわかに騒がしくなる。

飄々と、まるで近所の散歩から帰ってきたような雰囲気の伯母。周りは驚きで迎え入れるが、どこか扱いに困っている。果子は自分の部屋に伯母が来ることを猛烈に拒否したのだが、結局なし崩し的に一緒の部屋となってしまう。

常に家族総出でマメを向いている。そこでのマメを剥きながらの井戸端会議は、かっこうの情報共有の場であるのだろう。果子は周りの会話から伯母が何か事件を起こしたことを知る。そして、うすうすと自分が母親の子供ではなく伯母の子供ではないかと感じ取る。

客観的に見ると伯母と果子は似たモノ同士だ。どこかとらえどころがなく、何を考えているかわからない。かと思うと、突如としてエキセントリックな行動にでる。まるでテロを起こさんばかりに爆弾を作る材料を探し求めたりもする。

果子と従妹の子供と伯母で手作り爆弾で実験したりもする。そして、学生運動的な考え方が抜けない者もいる。それらがいつの間にか果子を追い詰めていく。追い詰められた果子はついには、伯母を勢いあまって傘でさしてしまったりもする。

強烈なインパクトはないのだが、コメディなのかシリアスなのかわからない物語となっている。果子の境遇はあまりにも複雑すぎる。自分が母親の子ではなく、エキセントリックな伯母の子供だと知る。その伯母がいなくなったとしても、なんだかホッとしている家族は特殊なのだろう。

爆弾を作ろうとする者たちの異様さは特殊だ。



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