2019.9.11 当時の社会の不満を異常者が代弁?【フォーリング・ダウン】
フォーリング・ダウン [ マイケル・ダグラス ]
評価:3
■ヒトコト感想
メガネ、白シャツ、ネクタイ、アタッシュケースをもった男。真面目なサラリーマン風ではあるが、突如キレだし暴れまわる。まさに一番恐ろしいサイコパスのパターンだ。ハンバーガーショップで対応が悪いとキレはじめ、店内で銃をぶっぱなす。周りの客たちが引いているのを目のあたりにすると、途端に冷静になったりもする。社会情勢を風刺したような雰囲気もある。
誰もが不満に思っていても、大っぴらに言えないことを男は怒りを爆発させ銃をあたりにぶっ放している。ある意味爽快かもしれない。ただ、異常者であることは間違いない。離婚した妻に、娘と会わせてくれと懇願する男。娘に会えないイライラがより爆発に拍車をかけているのだろう。
■ストーリー
“D-フェンス"と名乗る男がいた。非常に厳格で几帳面な上に、自分の価値観をハッキリと持った彼が、ある日突然、渋滞する道路に車を乗り捨てると歩きはじめた。別れた妻の元にいる幼い娘に電話をするために、両替してもらおうと入ったコンビニエンス・ストア。そこで邪険にされたことから、彼の怒りは爆発。
些細な出来事は、やがて市民を震え上がらせる事件に発展していく。都会の日常生活の中で誰もが感じているフラストレーションを一見ストレートに描きつつ、その中に不条理のユーモア、アイロニー、そして風刺を込めて描いたサスペンスフルな心理的チェイス。
■感想
永遠に続く渋滞に嫌気がさし、一人の男が車を捨てて歩いて家に帰る。ここだけなら、ただのキレやすい男の物語だ。男は別れた妻の元にいる娘の誕生日を祝うために、娘に会いにいく。実は会社をリストラされ、元妻から娘に会うことを拒否されていた。
一見真面目な男がフラストレーションをため続け、爆発する。チンピラに絡まれても、逆にチンピラをバットで殴り追い返してしまう。真面目なサラリーマンが突如としてキレてバットを振り回すと、さすがのチンピラもびびって退散してしまう。
チンピラが男に報復にやってくる。無差別な銃撃で男を殺そうとするのだが…。ここでも男はチンピラを返り討ちにし、チンピラたちの銃を奪ってしまう。スポーツバックを背負う白シャツにネクタイの男。一見なんでもない男だが、実は恐ろしい闇を抱えている。
ハンバーガーショップで、朝食メニューが終わったことに腹を立て、朝食メニューをよこせと店内で銃を乱射する。むちゃくちゃだ。誰も被害は受けていないが、男の姿に周りは引いてしまう。周りの状況に気づいた男が普通にハンバーガーを頼むも、パッケージとの違いに怒り狂う。
男を通して社会に対する不満を風刺しているのだろう。激しい渋滞にもかかわらず、その渋滞の元となっている工事現場の男たちは適当な仕事を繰り返す。ハンバーガーショップのいかにも分厚い肉のハンバーガーが実際にはペラペラの肉しかない。
警察を辞めようとしていた男だけが、謎の白シャツにネクタイの男の怪しさに早くから気づく。痛烈な皮肉や、社会に対する不満。それらを男が代弁している。ラストは娘と会うために必死な男と、辞めるはずだった刑事が対峙する。
キレる男の気持ちはわからなくもない。
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