エタニティ 永遠の花たちへ


 2019.7.13      フランス貴族たちの一見優雅な生活【エタニティ 永遠の花たちへ】

                     
エタニティ 永遠の花たちへ [ オドレイ・トトゥ ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
19世紀のフランス貴族を描いた作品だ。貴族なだけにあくせく働くことはない。美しい婚約者や大家族、そして夢のようなリゾート地での生活。ただ、そんな上流階級の生活でも何かしら問題はある。親が決めた婚約を破棄することや、戦争に子供たちを駆り出されてしまい、病や戦争で子供たちを失う。

物語の中では、仕事や金に関する悩みが描かれることはいっさいない。上流階級としての人間関係の構築や、いかにして周りとうまく生活していくのか。大家族のような生活の中で、夫が突然事故で亡くなったりもする。息子や幼馴染との結婚など、幸せの絶頂のような状況にありながら、不幸はすぐ近くに迫っている。いくら上流階級でも、どうにもできない問題というのはある。

■ストーリー
ヴァランティーヌがジュールと結婚した理由は、19世紀末フランスの上流階級においては少し変わっていた。親が決めた婚約を自分で破棄したのだが、それでも諦めないジュールに初めて心を動かされたのだ。夫婦の愛は日に日に深まっていったが、病や戦争で子供たちを失ってしまう。そんなヴァランティーヌに再び喜びをくれたのは、無事に成長した息子のアンリと幼なじみのマチルドの結婚だった。マチルドの従姉妹のガブリエルと夫のシャルルとも頻繁に交流するようになり、大家族のような賑やかで幸せな日々が続く。だが、運命は忘れた頃に意外な形で動き始める─。

■感想
フランスの上流階級を描いた作品。親が決めた婚約を自ら破棄したヴァランティーヌ。それでも、諦めないジュールと結婚することになる。夫婦としては、次第にうまくいき始める。フランスの上流階級は仕事にアクセクすることはない。

上流階級の者たちは、朝からしっかりと身だしなみを整え、キレイな食器で食事をする。大家族であれば、巨大なダイニングテーブルにそれぞれ子供たちが並び、一同に食事をする。これらのシーンだけ見ると、何の悩みも苦しみもないセレブな生活としか見えてこない。

幸せな夫婦生活の中で事件は起こる。病や戦争で子供たちは死んでいく。やむを得ない事件ではあるが、上流階級であってもどうにもできない状況というのはある。ヴァランティーヌの目線で言えば、生活に関する不安は一切ないが、それ以外のことがヴァランティーヌに重くのしかかっていく。

まるでリゾート地のような場所で日光浴をしながら優雅なひと時を過ごす家族。子供たちは海辺で水遊びをし、妻はビーチチェアで寝そべる。夫は海に入り遠泳をするのだが…。ここでも突然の事故で夫を失うことになる。

上流階級の生活というのばかりが印象に残っている。毎朝、目が覚めるとしっかりと身だしなみを整えた家族たちが整列する。大家族となり、皆が幸せな生活をしていると思いきや、不幸な運命は続いていく。ラストでは、子供たちを残して母親が死んでいく。

この部分だけ、妙な現実感がある。19世紀のフランスの貴族たちの生活は、常に現実感はない。おとぎ話のようであり、絵画の中の世界のようでもある。そんな中でも、強烈なインパクトのあるラストとなっている。

これがフランス貴族たちの生活だ。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp