江ノ島プリズム


 2019.6.5      無性に切ないラスト【江ノ島プリズム】

                     
江ノ島プリズム [ 福士蒼汰 ]
評価:3

■ヒトコト感想
江ノ島を舞台とした青春物語。生まれつき心臓に持病をもつ朔が幼馴染のミチルを追いかけ心臓発作で亡くなってしまう。それを自分のせいだと感じた修太は…。男ふたりに女ひとりの幼馴染の関係。当然ながら高校生ともなると、そこに恋愛感情が介入してくるはずなのだが…。本作では終盤までそのたぐいが一切でてこない。

朔が死んだことを後悔し続ける修太が、偶然手に入れた時計で過去にタイムスリップするという物語となっている。修太はなんとかして朔を死なせまいとするのだが…。修太がどのようにして朔が死ぬことを防ぐのかと、タイムスリップする上でのルールなどが語られている。ラストはなんだか切なく悲しい物語となっているのが特徴だ。

■ストーリー
福士蒼汰主演作、江ノ島を舞台にした、タイムスリップ青春ラブストーリー。病弱な朔を見守るちょっと天然な修太(福士蒼汰)、生意気だけど憎めない朔(野村周平)、そんな凸凹コンビに寄り添う活発なミチル(本田翼)の三人は、小学生の時からの大親友。幼馴染への恋と友情の入り混じった曖昧な関係のなかイギリス留学が決まったミチルは、二人への本当の気持ちを打ち明けられないまま、黙って旅立ちの日を迎えていた…。

■感想
男ふたりと女ひとりの幼馴染。江ノ島を舞台にしているので、ところどころに江ノ電や江ノ島、そして鎌倉が登場してくる。心臓に持病をもつ朔が走ったことにより心臓発作で死んでしまう。そのことを自分の責任だと思いつめる修太は偶然タイムスリップしたことで、朔を助けようとするのだが…。

たくみな制約条件でそう簡単に朔を助けることはできない。修太自身の心臓がどきどきした瞬間に元の世界に戻ってしまう。過去に長くいるためには、未来のものを持ち込んでもダメ。かなり厳しい制約だ。

修太は直接的な言葉で朔を救うことはできない。周りを動かしながら朔が助かる方向へと周りを導くしかない。その過程で、ミチルの気持ちを知ることになる。さらには、人の運命を変えることをやってしまった場合は、修太自身が周りの記憶から抜け落ちてしまうという弊害がある。

修太は朔を助けるために、ミチルや朔の記憶から自分がいなくなっても良いと考える。過去を変えた結果の未来が、今よりも辛い未来かもしれないというのは、なんだか重い言葉のように感じずにはいられない。

朔を助けるためには、ミチルの気落ちも変える必要がある。それら、複雑に絡み合う事情の中で、修太は決断をする。強烈なのは、朔が生き残ることが確定した瞬間に、今まで親しげに話をしていたミチルと朔が修太に向かって「誰ですか?」と問いかける場面だ。

まさに急転直下。あまりに変わりすぎだろう。幼馴染の記憶から自分が消えるのはどんな気落ちなのか。ミチルに好かれていたはずが、その記憶も消え去ってしまう。朔が生き残ったとしても、赤の他人になってしまう。

なんだか、ラストは無性に切ない感じになっている。



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