エイプリル・ソルジャーズ ナチス北欧大侵略


 2019.7.24      末端の兵士が経験する戦争【エイプリル・ソルジャーズ ナチス北欧大侵略】

                     
エイプリル・ソルジャーズ ナチス・北欧大侵略 [ ピルー・アスベック ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
ドイツ軍がやってきた。平和なデンマークに侵攻してきたドイツ軍。デンマークの軍隊は、国境付近で訓練を行っていたが、突如攻め込んできたドイツ軍に面食らうことになる。デンマーク軍の慌て具合から、それまで実践経験がないことが如実に現れている。ドイツ軍と比べると武器は雲泥の差。

ドイツの戦車に対して、デンマーク軍は自転車を組み立てて移動し拳銃ひとつで相対する。犠牲者をだしながら、味方の本体に合流したのだが…。そこでもよくわからない状態のまま、激しい戦闘に巻き込まれていく。命令系統がズタズタとなり、どこに向かえばよいのかわからない。最後の最後には降伏したのだが、そこで初めて国が降伏していたと知る。まさにこれこそが、末端の兵士が経験する戦争だろう。

■ストーリー
1940年4月8日、サン少尉(ピルー・アスベック)率いる小隊は、国境付近で訓練を行っていた。射撃訓練、移動手段である自転車の解体・組立、いつもと同じ風景の中、兵士たちは軽口を叩き合う。しかし、何か不穏な空気が漂い始めているのを肌で感じていた。そして彼らの懸念は現実のものとなり、軍上層部からドイツ軍が国境に接近しているという報告が届く。

夜が明けての9日早朝、ドイツ軍がデンマークへの侵攻作戦を開始。前線となったユトランド半島オールボーでは民間人をも巻き込んだ総力戦が展開されようとしていた。最初にドイツ軍と対峙したデンマーク軍のサン少尉率いる小隊は、本隊の援軍が来るまで持ちこたえようと奮戦するが…。

■感想
平和な日常から突如として戦争に巻き込まれる末端の兵士たち。国境付近にドイツ軍が押し寄せてきた。サン少尉率いる小隊は、移動手段は自転車しかない。迫りくるドイツ軍の戦車に対して、果敢に戦う小隊。犠牲者がでて持ちこたえられないとわかると、小隊は本体の元に退却するのだが…。

民間人たちも、のんきに見学をしていたりと非常に緩い雰囲気だ。それが、実際にドイツ軍の戦車が押し寄せてくると、民衆たちは、ひたすら逃げ惑うしかない。まさにこれが突然戦争が始まった場合の現実だろう。

犠牲者を出しながら、本体に合流した小隊。しかし、そこでもどうすればよいのかわからない。どこまで下がるのか、援軍がくるのか。そうこうしているうちに、ドイツの戦車がやってくる。蜘蛛の子を散らすように離れていく民衆たち。

小隊は自転車を抱え、トラックの荷台に乗せて移動する。現場の危機感と軍の上層部がどのような考え方をしているのかが伝わってこない。末端の兵士たちには情報が下りてくることはなく、ただ命令どおりに駒として動くしかない。非常に厳しい状況だ。

どうやら本作ではレアな兵器が登場するらしい。戦争なのでどちらが悪いというのはない。末端の兵士はただ命令に従うだけ。小隊は最後までよくわからない状態のまま、国を守るために戦い続ける。ただ、迫りくる巨大戦力の前にはなすすべはない。

とうとう降伏を決断するのだが…。そこで、ドイツの兵士から驚きの言葉を聞かされる。国が降伏していたとしても、その情報が末端の兵士には伝わらない。そのため、無駄な戦いを必死に繰り返しただけとなる。

ラストで当時の心境を語る元兵士たちの言葉は印象的だ。



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