デトロイト


 2019.12.22      黒人というだけで犯人あつかい【デトロイト】

                     
デトロイト [ ジョン・ボイエガ ]
評価:3.5

■ヒトコト感想
実際に起きた黒人差別の事件を描いた作品。黒人差別が今よりもさらに過激だった時期の話だ。デトロイトでの暴動から始まり、モーテル内部で罪のない黒人たちが警察の人種差別により殺されていく。黒人というただそれだけで死の危険が隣り合わせとなっている。モーテルで銃声が鳴り響く。

それが例えおもちゃの拳銃だったとしても、そこに警察が押し入り、そこに黒人がいれば、犯人にされる可能性がある。黒人たちもそのことを知っているだけにできるだけ穏便に済まそうとするのだが…。信じられないような差別主義者たち。黒人を人間扱いせず、殺したあとに自分たちの保身だけを考える。裁判の場においても白人が有利な判決を受けるような仕組みとなっている。信じられない出来事だ。

■ストーリー
1967年7月、暴動発生から3日目の夜、若い黒人客たちで賑わうアルジェ・モーテルに、銃声を聞いたとの通報を受けた大勢の警官と州兵が殺到した。そこで警官たちが、偶然モーテルに居合わせた若者へ暴力的な尋問を開始。やがて、それは異常な“死のゲーム"へと発展し、新たな惨劇を招き寄せていくのだった・・・

■感想
デトロイトで暴動が発生する。黒人の中には略奪に走る者もいる。暴動を鎮圧するために州兵が投入されデトロイト市警も捜査にあたる。警邏中に黒人の略奪者を見つけた警官は、逃げる黒人の背中に銃弾を浴びせる。

人種差別に厳しい国ではあるが、人種差別主義者がいなくなることはない。黒人イコール危険という刷り込みが必要以上に警官たちを攻撃的にさせるのだろう。上司から問題視されたとしても黒人に対する偏見を弱めることはない警官たち。非常に危険な考え方を持つ者たちだ。

モーテルに泊まる黒人たち。ふざけ半分でおもちゃの拳銃を州兵に向かって撃つのだが…。そこから州兵とデトロイト市警がモーテルに押し入り、黒人たちに暴行を加え始める。すべてが事実を元に描かれていることに衝撃を受けた。

黒人のひとりを射殺した警官は、後には引けない状態となり、どうにかして拳銃を見つけ出そうとする。その過程で暴行の限りを尽くし、ついには2人目を射殺してしまう。警官としてもまずい状況にあることを理解しているのだが…。すべてをなかったことにしようとするのだが、そううまくはいかない。

モーテルでの惨劇が終わった後、黒人たちは告発を始める。警察内部や事件を目撃した州兵から問題視する発言もでてくるのだが…。この裁判もまた強烈だ。警察内部ではすべての真実が明らかになっているとしても、裁判では弁護士の戦略から白人警官たちは無罪となってしまう。

非常にやりきれない状況だ。黒人というだけですべての罪を擦り付けられる。現場にたまたま居合わせた警備員の黒人は、いつのまにかすべての殺人の犯人に仕立て上げられようとしていた。

非常に強烈な作品だ。



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