デンデラ


 2020.1.22      捨てられたババアとクマの共闘【デンデラ】

                     
デンデラ 新潮文庫
評価:2

■ヒトコト感想
姥捨て山を描いた作品。姥捨て山に捨てられた老女が雪深い山奥でたくましき生き、捨てられた老女だけの村を作り上げている。そこから自分立ちを捨てた村に対しての復讐を考え、村に攻め入ろうとする。まずこの状況がすさまじい。雪山でひとり取り残された老女が、その後ひとりっきりで村を作り上げるなど、とんでもない生命力だ。

生きる執念というか、そこまでの生活力があるのなら村を追い出されずに済んだのではないかと思わずにはいられない。この捨てられたババアたちが本気をだせば、とんでもなく村に貢献できたのは間違いない。村への復讐や巨大なクマとの対決など、グロテスクな場面が多数登場してくる。クマ対ババアの対決というのもなんだか変だ。

■ストーリー
老人を山に捨てる「姥(うば)捨山伝説」を題材に、死んだと思われていたはずの老女50人が、さまざまな思いを抱えながら、過酷な自然状況のなかで懸命に生き延びていく姿を描く

■感想
姥捨て山に捨てられたババアたちが、自分たちだけの村を作り上げ、そこで生活を続ける。最初のババアがひとりっきりで火を焚き、住む場所を作り食料を確保するなど、とんでもない生活力をはっきする。そこからは、同じく捨てられたババアたちを助け出し、村に住まわせ村を巨大化していく。

姥捨て山に捨てられたババアたちだけの村。当然、捨てられるのはジジイもいるのだが、ババアたちはジジイを助けようとはしない。なんだかここでの男女差別というのも微妙な気がした。

ババアたちは生きるためにはなんでもやるらしい。木の皮を食べたり、木の実を食べたり。この根性とパワーがあれば、村でも立派な戦力となっていたはずだ。元はと言えば、村で働かずに食うだけの存在を減らして村全体を生きながらせるための姥捨て山だったはずだ。

それがあべこべにババアたちが作った村とババアたちの方が本家の村よりも強くなっているような感じだ。巨大なクマに襲われ、一部のババアが犠牲となる。グロテスクなシーンが盛りだくさんであり、ババアたちの悲惨な状況がこれでもかと描かれている。

ババアとクマたちの戦いはなかなか決着がつかない。ババアが勝利したかと思いきや、クマは仲間を引き連れてくる。最終的にはババアたちが元の村に攻め入ろうとした時に、クマが襲い掛かり村人たちを攻撃し始める。

ババアとクマの共闘のような要素すらある。すべてにおいて残酷な物語だ。ババアの逞しさはちょっとやりすぎのような気がするが、ババアとクマの対決も、それに負けないほどのやりすぎ加減だ。映像的なインパクトはすさまじい。

汚らしいババアたちが大活躍する物語だ。



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