チョコレートドーナツ


 2018.10.24      ゲイというだけで差別される時代 【チョコレートドーナツ】

                     
チョコレートドーナツ/アラン・カミング
評価:3

■ヒトコト感想
ゲイのカップルが知的障害のある子供をひきとり育てようとした時の周りの偏見や差別を描いている。ゲイをカミングアウトしているショ-ダンサーのルディとゲイであることを隠して弁護士として仕事をしているポールのカップルだ。母親が薬物中毒で放置されていたマルコ。そんなマルコを、母親が逮捕されたのをきっかけとして、ルディとポールのカップルが育てることになる。

ゲイと知れただけで周りから白い目で見られる。ポールは事務所を解雇される。マルコの養育権を争う裁判の場でも、ふたりがゲイということがマルコに悪い影響を与えるということで難色を示される。たとえマルコが2人と生活することを望んだとしても、周りの大人たちがそれを許さないのが現実だ。

■ストーリー
1979年、カリフォルニア。シンガーを夢見ながらもショーダンサーで日銭を稼ぐルディ。正義を信じながらも、ゲイであることを隠して生きる弁護士のポール。母の愛情を受けずに育ったダウン症の少年・マルコ。世界の片隅で3人は出会った。そして、ルディとポールは愛し合い、マルコとともに幸せな家庭を築き始める。ポールがルディのために購入した録音機でデモテープを作り、ナイトクラブへ送るルディ。

学校の手続きをし、初めて友達とともに学ぶマルコ。夢は叶うかに見えた。しかし、幸福な時間は長くは続かなかった。ゲイであるがゆえに法と好奇の目にさらされ、ルディとポールはマルコと引き離されてしまう……。血はつながらなくても、法が許さなくても、奇跡的に出会い深い愛情で結ばれる3人。見返りを求めず、ただ愛する人を守るために奮闘する彼らの姿に我々は本物の愛を目撃する。

■感想
ゲイカップルが子ども養育しようとした時には様々な障害がある。特にマルコが知的障害ということで、はっきりと主張できないことも、ゲイカップルが不利になる要因なのだろう。世間はゲイに厳しい。

イケメンで優秀な弁護士であるポールは、ゲイと知られるまでは上司の評判もよく女性からも言い寄られたりもした。それが、ルディの存在が明るみにでると、とたんにポールの評価はがた落ちになる。さらには上司のホームパーティに呼ばれ、そこで従弟としてルディを紹介するのだが…。

現在でさえゲイをカミングアウトするには抵抗があるのだろう。それが70年代となると、偏見のかたまりかもしれない。ルディはそんな世間の風潮に風穴をあけるように様々な活動をする。ポールはふっきれてはいないが、最後には裁判で争ってでもマルコを育てようとする。

ここで、マルコにヒアリングした医者や子供を担当する者たちが、ルディたちのマルコに対する育て方を見直すようになる。裁判の流れとしては、ゲイという好ましくない理由はあるが、マルコ本人も望むことなので、一緒に生活してもよい、という流れになりそうなとき、どんでん返しが待っている。

ルディとポールとマルコは不自然な関係だが、まさに家族のように仲が良い。3人が幸せになることを観衆の誰もが望むのだが…。ラストは衝撃の展開が待っている。知的障害をもつマルコが、自己主張ができないまま母親と再び一緒に生活した場合どうなるのか。

そして、不幸な結末となった結果を、ルディたちを否定し続けた者たちはどう感じるのか。ルディが関係者に真実を伝える手紙を出す場面は、強烈なインパクトがある。実話ではないが、インパクトは相当ある。

ゲイだというだけで差別される時代だったのだろう。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp