チャイルド・イン・タイム


 2020.5.7      激しい後悔の念にかられる【チャイルド・イン・タイム】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
作家のスティーヴは、娘のケイトを一瞬目を離した隙に、ケイトは行方不明となってしまう。夫婦の鎹でもある娘を失うと夫婦関係も壊れてくる。スティーヴは妻のジュリーとの関係が悪化していく。失意のスティーヴには親友がいるのだが、その親友も政府の仕事に嫌気がさして隠居生活に入ろうとする。スティーヴの周りでは多数の困難がある。

娘のケイトを探し続け、似たような風貌の女の子を見ると、つい目で追ってしまうスティーヴ。親友は子供にかえったように山の中を短パンとパーカー姿で無邪気に遊びまわっている。なんだか精神が壊れたようにも見えなくもない。スティーヴがケイトだと思い込み追いかけていった少女が実は別人だったとわかった時のショックがすさまじく伝わってきた。

■ストーリー
児童文学の作家であるスティーヴは、娘のケイトと一緒にスーパーマーケットに買い物へ出掛けた。ところが、店内で少し目を離した瞬間、彼は娘の姿を見失ってしまう。失踪してしまった娘に対する罪悪感に苛まれ、その悲嘆から酒に溺れるスティーヴ。当然、妻ジュリーとの関係も悪化してゆくのだった。彼は教育委員会の仕事に従事するも娘のことがひと時も忘れられず、やがて街中でケイトの幻影を追い求めるようになるのだが…。

■感想
ケイトを自分の不注意で失ってしまったスティーヴ。ひたすら娘を探し続けるのだが…。スティーヴの苦悩とジュリーの苦しみが強烈に伝わってくる。次第にギクシャクし、遂には二人は別れることになる。子供を失うことで夫婦関係が崩壊するのはありえることなのかもしれない。

スティーヴはケイトと背格好が似ている子を見つけると、つい目を向けてしまう。有名な児童書の作家の娘が行方不明となると、周りの話題にもなってしまう。スティーヴの苦悩はすさまじいものなのだろう。

スティーヴには政府の仕事をしていた親友がいた。ただ、その親友も仕事に疲れ隠居する決断をした。親友夫婦は人里離れた山奥で気ままな生活を続けている。どこかスティーヴもケイトを失ってからは世捨て人のような雰囲気があったが、この親友はさらに上をいっている。

山奥の中で常に子供に戻ったように遊びまわる。木の棒を持ち、それを銃に見立てて戦争映画のように土手に這いつくばって銃を撃つ真似をする。ひげ面で目が血走っており、どこか精神が壊れた人のようにも見えてしまう。

悲しみや苦しみを心に抱えると人はどうなっていくのか。親友は壊れてしまっていた。親友の妻はひたすら夫が元に戻るのを待ち続けていたのだが…。スティーヴはケイトにそっくりな子を見つけ思わず後をつけてしまう。小学校にまで入り込んで、自分の娘だと教師に伝えるのだが…。

残酷な真実を突きつけられたスティーヴが、思わず顔を覆って泣き出すシーンは衝撃的だ。ラストは、ケイトが生まれるまでの幸福に満ちたスティーヴの姿が描かれている。なぜ、最後をこのシーンにしたのか。一瞬、ケイトが見つかったのか?と思ってしまった。

非情に残酷な内容の作品だ。



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