ブリザード 凍える秘密


 2019.4.8      母親が行方不明となった衝撃の真実【ブリザード 凍える秘密】

                     
ブリザード 凍える秘密 [ シャイリーン・ウッドリー ]
評価:3

■ヒトコト感想
キャットの母親であるイヴが失踪した。思春期のキャットはイヴの失踪を気にしないようにするのだが…。キャットの回想の中でのイヴは、夫に不機嫌な態度をとり続け、娘をライバル視する精神的に不安定な女のように見える。キャットの父親が気を使ってもイヴは我関せずでひたすら不機嫌な態度をとりつづける。

異常者イヴと、イヴに迷惑しているキャットとキャットの父親という流れが作り上げられるのだが…。後半から物語は変化していく。キャットの恋人をイヴが寝取ったのか。それに気づいたキャットの父親がイヴを殺害したのか。ラストでは、すべての真実が明らかとなる。キャットの想像が想像でなくなる瞬間は恐ろしくなることは間違いない。

■ストーリー
1988年、キャットが17歳の時、母親イヴが何の前触れも無く、ある日突然失踪する。思春期のキャットはその事実を意図的に意識しないように過ごしてきたが、そのことがきっかけで徐々に彼女の生活は乱れていく。やがて大学に入学して実家を離れ、恋人と出会い、成長していくにつれ、幼い頃の母親との記憶を思い返すようになる。大好きだった母親はなぜ家を去ったのか。不可解な言動が頭に甦る。そして春休みに久々に実家に戻ると、母親の捜査を担当していた刑事から、母親が何者かに殺害されたとしか考えられないと告げられる…

■感想
キャットはある日突然失踪した母親のイヴについて回想する。物語はなぜ母親が失踪したかに焦点が当てられている。キャットが過去を思い出すことで、イヴが失踪する兆候があったと思わせる。父親のせいで退屈な人生を過ごしていると嘆くイヴ。

ただはたから見るとイヴがひとりヒステリーを起こしているように感じてしまう。キャットの恋人に対しても色目を使い、キャットに対してライバル視しているようにすら思えてくる。ここまでくるとイヴが精神的におかしくなって失踪したかに思えてくる。

イヴの失踪を調査する刑事に、キャットは男の魅力を感じて寝てしまう。ここでキャットと刑事との関係から、イヴが誰かに殺されているのでは?という疑問がわいてくる。キャットは過去を回想しつつも、恋人との関係がうまくいっていないことに不満がある。

自分が不倫していることを棚に上げて、恋人が自分にかまってくれないことにイライラしている。父親との関係も悪くなり、キャットはついにはヒステリーのような状態となる。ミステリー的な要素は少ないが、イヴの失踪の状況がミステリアスなのが良い。

ラストでは衝撃的な真実が明らかとなる。物語はキャットの恋人がイヴと不倫をしていたと思わせておきながら…。実は父親とキャットの恋人ができていたという衝撃の事実が明らかとなる。イヴは父親がゲイということに気づいており、それをなじっていたという流れだ。

非常に衝撃的で、父親は恋人との情事をイヴに見られ、なじられたことから激高しイヴを殺害したということだ。こうなると、キャットがみじめでしかない。恋人にも父親にも裏切られ、敵と思っていたイヴが実は一番共感できる存在だったと…。

まさに凍えるような秘密だ。



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