ブンミおじさんの森


 2018.5.15      映画通にしかわからない作品? 【ブンミおじさんの森】

                     
ブンミおじさんの森 スペシャル・エディション [DVD] 新品 マルチレンズクリーナー付き
評価:2

■ヒトコト感想
パルムドールをとったとかで有名になった作品。どれほどすばらしいものかと期待して見たのだが…。ファンタジーすぎてついていけない。途中で登場する謎の毛むくじゃらの猿も、30年前のウルトラマンに登場するようなクオリティに思えた。病魔におかされ、死が間近にせまったブンミが体験する不思議な出来事。

確かに不思議だが突如として隣に浮かび上がる死んだ妻など、あまりに唐突すぎる。そして、精神世界の話や、特殊な風習の話など、すんなりと入り込める内容ではない。インパクトのある展開であることは間違いないのだが、あまりに特殊すぎる。映像の不思議さを楽しむべきなのか、それともストーリーを楽しむべきなのか…。

■ストーリー
タイ東北部の村。腎臓の病に冒され、死を間近にしたブンミは、妻の妹ジェンを自分の農園に呼び寄せる。ある日の夕食の席、19年前に亡くなった妻フエイが姿を現す。彼女はブンミの病気が心配でやってきたという。彼らは最初こそ驚くものの、懐かしさから語らいはじめた。

そこに、数年前に行方不明になった息子ブンソンも姿を変えて戻ってくる。いよいよ行くときが近づいてきたのだ。愛するものたちとともに、森に入っていくブンミ。彼は、洞窟の闇の中で、自分の前世を思い出す。そして…

■感想
タイの村で、死が間近に迫ったブンミの前に、死んだ妻が幽霊として登場し、行方不明となった息子も毛むくじゃらの猿のような恰好となり姿を現す。もはや何がなんだかわからない状況だ。コメディではなく、くそまじめにすべてが描かれている。

幻想的ではあるのだが、すべてをすんなり受け入れることはできない。死が近づいて頭がおかしくなったのか、自分の前世を思いだしたり、なんだか変な展開になっている。宗教的な匂いも若干感じずにはいられない。

最もインパクトがあるのは、間違いなく行方不明になった息子のブンソンの変わり果てた姿だ。森に迷い込んでいるうちにまるでゴリラのように全身毛むくじゃらの猿になる。声がブンソンだからと、ブンミたちはブンソンだと分かるらしい。森に生息する奇妙な生き物。

それは、死んだはずの妻フエイが現れてから同じ時期に登場してくる。すべてはブンミに死が近いということを暗示しているのだろう。タイの山奥の村で透析しながら生きながらえるブンミ。このあたり、中途半端に現代的なのがポイントなのだるう。

本作はハリウッドの有名監督たちから絶賛され、パルムドールを受賞したようだ。タイ映画で初らしい。確かにキタノ映画と同じ雰囲気を感じずにはいられない。どこか静かで、セリフも少なく、映像としての表現が特殊だ。

全体として、映画通にしかわからないような雰囲気を醸し出している。本作の良さがわからないのは、映画を知らないからだ、と評論家に言われそうな作品でもある。映像も特別画期的ではなく、雰囲気だけで良い映像のように錯覚させている。

この作品を理解できない自分が悪いのだろうか。



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