2019.6.16 決して妥協しない交渉術【ブリッジ・オブ・スパイ】
ブリッジ・オブ・スパイ [ トム・ハンクス ]
評価:3
■ヒトコト感想
米ソ冷戦時代のスパイと、捕まえたスパイの交換交渉を描いた作品。NYの有名弁護士が、アメリカでスパイ活動をしていたソ連のスパイと、ソ連に捕らえられたアメリカ人のスパイの交換を交渉する。まずソ連のスパイの、何者にも屈しない態度が印象的だ。スパイを弁護することになったドノヴァンには同情しかない。
スパイの心意気に感化されドノヴァンは、未来に起こるであろうアメリカ人スパイとの捕虜交換のために、スパイを殺さないよう進言したりもする。冷戦中の米ソの間に立たされたドノヴァンの苦悩は、東ドイツに逮捕された大学生を助け出すことも視野にいれたため、より困難な道となる。決して相手におもねることなく、ひたすら自分の要求を主張し続ける。相手がどうでるか、一種の賭けのように感じた。
■ストーリー
アメリカとソ連が一触即発の冷戦状態にあった1950~60年代。ジム・ドノヴァンは、保険の分野で実直にキャリアを積み重ねてきた弁護士だった。ソ連のスパイの弁護を引き受けたことをきっかけに、世界平和を左右する重大な任務を委ねられる。それは、自分が弁護したソ連のスパイと、ソ連に捕らえられたアメリカ人スパイの交換を成し遂げることだった。
良き夫、良き父、良き市民として平凡な人生を歩んできた男が、米ソの戦争を食い止めるために全力で不可能に立ち向かっていく!
■感想
NYで敏腕弁護士として鳴らしていたドノヴァン。ひょんなことからソ連のスパイの弁護をすることに。アメリカの敵として世間から叩かれているソ連のスパイを弁護することに、家族たちから反対されるのだが…。
ドノヴァンはひたすらスパイの弁護する。ドノヴァン自身もスパイを弁護したことで世間から奇異の目で見られる。ソ連のスパイが人間的にすばらしく、国のために芯の通った行動をしていることについて、ドノヴァンも次第に相手に共感していく。ソ連のスパイの人間性がドノヴァンを変えていく。
ソ連のスパイを死刑にすることを拒否するドノヴァン。それは、近い将来アメリカ人のスパイが捕虜となった場合、捕虜同士の交換ができるからと答える。みごとドノヴァンの予想通りに、アメリカ人のパイロットが捕らえられてしまう。
ドノヴァンは、政府とは関係なく、ソ連スパイの弁護士個人として捕虜交換を行うよう政府に求められる。非常に困難なミッションだ。ドイツに壁ができる直前のドイツで危険な状況にあいながら、スパイ交換の交渉を続けるドノヴァン。
ソ連のスパイとアメリカ人のスパイ交換を交渉するはずが、東ドイツで捕らえられた未来ある若者を奪還しようと考えるドノヴァン。そして、ここからドノヴァンの粘り強い交渉が続く。2対1の交換でなければ応じないと言い続ける。相手にどれだけデメリットがあるか。
普通に考えれば、ソ連スパイとアメリカ人スパイの交換だけで御の字のはずなのだが…。困難な交渉を続けるドノヴァン。そして…。ラストの人質交換の場面で、ソ連のスパイがその後どうなるかを予想できる場面が衝撃的だ。
弁護士として粘り強い交渉の姿勢がすばらしい。
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