2020.9.1 ボルグは実は熱い男だった【ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男】
ジョン・マッケンロービョルン・ボルグ
評価:3
■ヒトコト感想
ボルグとマッケンローのウィンブルドンの決勝を描いている。実話を元にした物語なのだろう。氷の男と言われたボルグ。対象的に審判に悪態をつく熱い男のマッケンロー。ふたりの幼少期からを描き、対比として決勝までをドラマチックに描いている。意外なのは、氷の男と言われたボルグが、実は幼少期は試合中に癇癪を起し、すぐに激高し試合をまともにすすめらないような状態となっていたことだ。
良いコーチに恵まれて変わっていくボルグ。その変わり方もまた極端で、ルーティーンを神経質なまでに守らないと気が済まない男となっている。マッケンローよりも熱い男が改心し変わる。ラストの決勝のシーンは、どちらが勝ってもおかしくない状況だったのだろう。その後、ボルグが26歳で引退したことにも驚いた。
■ストーリー
1980年、世界ランク1位のテニスプレイヤー、24歳のビヨン・ボルグはアスリート人生最大のプレッシャーと向き合っていた。まもなく始まるウィンブルドンに、歴史的記録となる5連覇がかかっているのだ。いつも冷静沈着で、「氷の男」と呼ばれるボルグの真の葛藤を知るのは、コーチのレナートと、婚約者のマリアナだけだった。
そんなボルグの5連覇を阻止するべく現れたのが、「悪童」としてメディアから激しいバッシングを受けているジョン・マッケンローだ。世界ランク第2位を誇りながら、納得できない判定に食い下がり、ブーイングを放つ観衆にも容赦ない罵声で反撃する男だ。ついに、世界中が見守るなか、人智を超えた決勝戦が始まる─
■感想
ボルグとマッケンロー。どちらかと言うとマッケンローは印象にある。激しく審判に抗議する印象のプレイヤーだ。ボレーが得意でサーブ&ボレーで決めまくる。ボルグについてはほとんど知らなかった。本作を見て冷静沈着なマシーンのようなプレイヤーという印象があった。
本作のメインはボルグなのだろう。少年時代はテニスの腕前はすばらしいが、すぐに激高し試合を無茶苦茶にしてしまう。デビスカップの監督がボルグをスカウトするのだが…。そこからボルグは変わっていく。すぐに熱くなるプレイヤーが極端に冷静になるのは強烈だ。
ボルグは試合に勝つために、神経質なまでにルーティーンを重視する。試合前にはガットをピンと張った状態のラケットを10本用意する。そのチェックを試合前の夜にコーチと実施する。試合中に使うタオルは何枚で、もしかしたら当日朝の食事なども決められていたのかもしれない。
ボルグのサイボーグのようなプレイに対抗できるのは、マッケンローの熱いプレイしかない。作中では審判に食いつくマッケンローの姿が強烈に描かれている。記者や世間からも嫌われ、完全なヒール役となっていることは間違いない。
ラストではウィンブルドンでのボルグとマッケンローの試合が描かれている。フルセットまでもつれ込んだ試合。ボルグの冷静さとマッケンローの熱さ。ギリギリの戦いを制したのはボルグだった。そこから、ふたりは親友となり、その後も関係が続いてく。
驚きなのは、ボルグがマッケンローの結婚式の介添人になっているということと、ボルグが26歳の若さで引退したという部分だ。ギリギリの戦いをしていたのだろう。自分を極限まで律することで勝利を手にする。作中のボルグの表情は常に張りつめているように見えた。
ボルグ対マッケンローの強烈なノンフィクションだ。
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