ぼくたちの家族


 2019.8.22      母親の病気を機に家族の秘密が表面化【ぼくたちの家族】

                     
▼ぼくたちの家族▽
評価:3.5

■ヒトコト感想
父母兄弟のごく普通の家族に、あるひとつの出来事をきっかけとして変化がおとずれる。母親に脳腫瘍が見つかり余命1週間と診断される。痴呆症のような症状となり混乱する家族。父親は焦り取り乱し、長男は悩み苦しむ。次男は表面上は冷静さを装っているのだが…。

過去に長男が引きこもり状態となっていたことや、実は父親と母親には莫大な借金があったということが後で判明する。自己破産しようにも、長男が保証人となっている。袋小路に追い込まれた時に家族は一致団結してこのピンチを乗り越える。はたから見ても苦しい状況だ。父親が無意味にジョギングしてみたり、長男は悩み苦しみ固まってみたり。自分が同じ立場だったらと、ふと考えて恐ろしくなった。

■ストーリー
若菜家は、息子2人、父と母の平凡な家族。だがある日、若菜家の母・玲子(原田美枝子)に「脳腫瘍」が見つかる。末期症状で、余命1週間の診断をされる。父(長塚京三)は取り乱し、長男の浩介(妻夫木聡)は言葉を失くし、次男の俊平(池松壮亮)は冷静を装う。やがて、“どこにでもいる家族"に潜んでいた秘密が表面化していく―。

どうしたらいいか分からない、でも投げ出すことなんてできない。そして男たちは「悪あがき」を決意する―。

■感想
母親が末期の脳腫瘍で入院する。調べると両親には莫大な借金があり…。ひとり奮闘する長男には同情せざるお得ない。嫁からは生まれてくる子供のことを相談され、父親からは混乱した電話がかかってくる。次男は冷静ではあるが、どこか頼りにならない。

あげく両親の借金の保証人に自分がなっているため、両親は自己破産すらできない。母親の治療費のこともあり、苦悩する長男。結局のところ、何に一番苦労するかというと金だということだ。金があればすべてOKではないが、ないと間違いなく苦労するのだろう。

母親の治療にさじを投げた医者。長男と次男は別の医者を探し周るがうまくいかない。ダメな時は何をやってもうまくいかない。それが、うまくいきだすととんとん拍子にうまくいく。ついつい、自分が長男の立場だったらと考えてしまう。

八方ふさがりで何もかも嫌になってしまうだろうか。母親の病気が治る兆しがでてくると、そこから皆が前向きになり始める。父親がジョギングをして何かをしている気になっているのは笑えるシーンではある。

金の悩みは深い。金があれば幸せになれるわけではないが、なければ確実に苦労する。長男は借金をどのようにして返すのか。外資系へ転職して返そうとするのだが…。ことはそれほど簡単ではないが、皆が必死になり前向きになるのは良い傾向だ。

夫婦中も家族間も金が原因でギクシャクするのはよくある。母親の脳腫瘍というひとつの出来事が家族の秘密を表面化する。自分だったら両親の借金を知った瞬間、激怒するかもしれない。親の立場からしても、子供に迷惑をかけるのは辛いことなのだろう。

ついつい長男に感情移入してしまう物語だ。



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