僕が星になるまえに


 2020.4.26      末期がんの男とその親友たち【僕が星になるまえに】

                     
僕が星になるまえに
評価:3

■ヒトコト感想
末期ガンで残された時間が少ないジェームズ。思い出作りにと3人の親友とともに人気のない湾岸のキャンプ場へと向かう。弱ったジェームズは長時間歩けないため、リヤカーのような物で引いてもらうしかない。3人の仲間と自分を比べ、自暴自棄になりあたり散らすこともあるジェームズ。それぞれが悩みや苦しみを告白するのだが、ジェームズの苦しみに比べると…。

モルヒネを飲みながら痛みをこらえるジェームズ。最後には戦って死にたいと自殺をほのめかすようなことをいう。時たま仲間同士で喧嘩をするのだが、それすら楽しそうに眺めたりもする。さまざまなアクシデントがあるが、それらはジェームズからすれば些細なことでしかない。非常に強烈な物語であることは間違いない。

■ストーリー
29歳の誕生日を迎えたジェームズは、三人の親友を誘って“世界で一番好きな場所”ウェールズ地方の湾岸へキャンプ旅行に出かける。しかし、末期ガンに冒された彼に残された時間は多くなかった。体力が衰えつつあるジェームズをカートに乗せた男だけの気ままな旅は思わぬトラブルの連続。次第にそれぞれが抱える葛藤や本音がさらけ出されていく…。男同士の友情と生きる意味を、儚く残酷にそして美しく描き出す人間ドラマ。

■感想
ジェームズは末期ガンで助からない。周りはそれを理解している。哀れみの言葉をかける者あり、同情をよせる者あり。唯一、昔と変わらず接してくるのは3人の男だけだった。4人で人気のない湾岸のキャンプ場へ向かい、そこで羽目をはずそうとする。

無人島のような場所でキャンプをしており、2つのテントで夜を明かす。くだらないことで喧嘩をする仲間をほほえましく眺めるジェームズ。中盤までは男たちの楽しそうなキャンプの映像が続く。ジェームズがリヤカーに乗っている以外は不自然な個所はひとつもない。

最低限のテントとキャンプ道具で、何もない海岸べりを歩く。海辺で騒いだり、紅茶にクッキーを浸して食べたりとキャンプを満喫してるようだ。ただ、ジェームズだけは体が痛むのか頻繁にモルヒネを飲みながらキャンプを続けている。

はしゃぎすぎたため、花火の火が引火しひとつのテントが燃えてしまったりもする。その瞬間は、皆が激怒するような状況となるが、そのうちどうでもよくなる。残ったひとつのテントで4人で眠ってしまう。少しのトラブルは、ジェームズの状況から比べるとなんてことないからだろう。

ふとした弾みで荷物を載せたリヤカーがそのまま崖下に落ちてしまう。ほとんどのキャンプ道具がない状態でキャンプを続けなければならない。さらにはモルヒネまでどこかに落としたことでジェームズは痛みを耐えることができない。苦しむジェームズ。自分の死期を悟った男は、自ら戦いながら死にたいという。

薬物の大量摂取で死ぬのではなく、あえて海の中に向かう。仲間たちは、ジェームズを追いかけるのだが、死にゆくジェームズを助けることはできない。

死が迫った者と、その周りの者との違いが浮き彫りになる作品だ。



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