2019.6.22 ナチス憎けりゃベンツも憎い【ブルーム・オブ・イエスタデイ】
ブルーム・オブ・イエスタディ [ ラース・アイディンガー ]
評価:2.5
■ヒトコト感想
ドイツに強い恨みをもつ女と、罪の意識から過去のドイツの過ちを検証する会議を開催しようとする男の物語。ホロコースト研究所に勤めるトトは、性格的にエキセントリックだ。突然怒りだしたりする。序盤ではトトがどんな状況なのかよくわからないが、簡単に切れる人物だというのはわかる。
そこへインターンとしてやってきたサジ。美しく若いがこれまたエキセントリックなサジ。突如として怒り出すのはサジも同様だ。そんな二人が、会議を開催させるために奔走する。トトの家庭環境が明らかとなり、なぜトトの奥さんは浮気しているのかも後半に判明する。サジは不倫あり、喧嘩は当たり前で強烈に扱いずらい人物であることは間違いない。
■ストーリー
ホロコースト研究所に勤めるトト(ラース・アイディンガー)は、ナチス親衛隊の大佐だった祖父を持ち、一族の罪に真剣に向き合うあまり心はいつも不安定。さらに、2年もかけて企画した“アウシュヴィッツ会議"のリーダーから、外されてしまう。最悪の精神状態で、フランスから来るインターンのザジ(アデル・エネル)を迎えに行く。到着した彼女は、トトの下で研修できることに感激したのも束の間、迎えの車がベンツだと知ると、激しく怒り出す。
ユダヤ人の祖母が、ベンツのガス・トラックでナチスに殺されたというのだ。トトは猫の目のようにコロコロと気分が変わるザジに唖然とし、ホロコーストの被害者の孫なのに、何かと歴史を茶化す、ザジの破天荒なユーモアにも我慢ならなかった。ある日、会議を欠席すると言いだしたホロコーストの生還者で女優のルビンシュタインを説得する役目を担った二人。トトはここでも「あの悲劇を分かってない」とお門違いの暴言を吐き、女優を怒らせてしまった。
帰り道ヤケになってネオナチの屈強な男たちにケンカを売り、返り討ちにされたところをザジに助けられるトト。ザジの寝室で手当てを受けていたトトは、目を疑う“ある物"を見つける──。
■感想
アウシュビッツ会議を開くために2年も前から入念に準備してきたトト。リーダーを外された瞬間、怒りが頂点に達して同僚を殴打する。まずトトが怒りの沸点が低く、エキセントリックだということはわかる。相手に大怪我をさせたうしろめたさもあり、インターンの女の面倒をみることになる。
トトの特殊さもさることながら、インターンの女サジはさらに上を行く特殊さだ。ナチスに強烈な恨みをもつため、ベンツで迎えにきたトトを罵倒したりもする。そこまで徹底するか?という思いがある。
サジの破天荒な態度に我慢ができなくなるトト。ついには愛想を尽かせるのだが…。サジも相手が逃げていくと追いかける。トトと寝ようとするサジだが、そこでもトトはひたすら拒否をし続ける。それはなぜかというと、実はトトはインポだった。
トトの事情がわかると、トトの奥さんが堂々と浮気をしていた理由もわかる。トトとあらかじめ決められていた浮気ということだ。サジは強烈なショックを受けるのだが、それでもめげることはない。サジのバイタリティーはすさまじい。
サジの不倫相手は、トトからサジを取り戻すためにトトの出自を暴露する。サジが死ぬほど恨むナチスにルーツを持つ男だと知ると…。ヨーロッパの歴史的な対立やドイツとフランスの関係。そして、ナチスが憎ければドイツが憎いというのがどの程度ぶっ飛んだことなのか。
そのあたりを知ればより楽しめるのかもしれない。トトとサジがふたりとも瞬間湯沸かし器的な人物なので、見ているとハラハラしてくる。筋肉モリモリの黒人にも果敢に挑みかかるサジはすさまじい。
歴史を学べばより楽しめる?
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