ブラック・ハウス 上 


 2020.1.11      子供を異常者にさらわれる恐怖 【ブラック・ハウス 上】

                     
ブラック・ハウス(上) 新潮文庫/スティーヴン・キング(著者)
評価:2.5
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■ヒトコト感想
謎の食人鬼フィッシャーマンとそれを追いかける敏腕刑事ジャックの物語だ。序盤からフィッシャーマンの異常さがこれでもかと表現されている。物語的には誰がフィッシャーマンかは読者だけには早めにわかるようになっている。物語のポイントはどのようにしてフィッシャーマンが捕まるのかということと、その動機がどのようなものかだ。

少年や少女がさらわれ、無残な死体となって帰ってくる。フィッシャーマンをめぐり、警察だけでなく周囲の住人や、同じような子供をもつ親たちもざわつき始める。自分の子供がフィッシャーマンにさらわれたと予知してしまい精神に異常をきたす者まで現れる。あらゆる者たちを巻き込みながらも、実はフィッシャーマンがすぐ近くにいたという流れなのだろう。

■ストーリー
LA市警の敏腕刑事ジャックは、辞職してウィスコンシン州の田舎町に移り住もうとしていた。折しも町では、食人鬼フィッシャーマンによる少年少女誘拐事件が続発。事件の背後にある不可思議な現象を探るうちに、ジャックは、20年前に母親の命を救うために旅立った異界からの呼び声を聞くことに――。稀代の語り部コンビが『タリスマン』に次いで贈る畢生のダーク・ファンタジー!

■感想
少年と少女たちが次々とさらわれ、無残な死体となって戻ってくる。フィッシャーマンが起こした事件により田舎町は大騒ぎとなる。物語の序盤でフィッシャーマンの正体がある程度判明してくる。それでもなぜフィッシャーマンが少年少女たちを誘拐するのかや、どのような方法で誰にも知られずに実行するのかが判明していない。

敏腕刑事であるジャックはフィッシャーマンの逮捕に心血を注ぐのだが…。FBIや州警察など外部の圧力もある。単純な猟奇殺人ミステリーではない雰囲気もある。

フィッシャーマンに息子をさらわれた母親は、息子が行方不明とわかる前に、何かしらを察知し精神に異常を訴え始める。自分の一番大事なものが、世間を騒がすフィッシャーマンに連れ去られてしまった。

その瞬間から精神病院行きとなる。なぜ母親は察知できたのか。謎めいた雰囲気が強いのは、ごく当たり前のミステリーではなく、超常現象的な雰囲気があるからだ。フィッシャーマンは警察をあざ笑うかのように死体を隠した場所を自ら911に電話して伝えたりもする。

上巻の段階では、まだどのような結末となるのかまったくわからない。様々な登場人物がいる中で、元刑事のジャックと盲目のヘンリー、そして子供をフィッシャーマンに奪われた親たちがどのような行動をとるのか。

超常現象的な流れとなるのか、それとも現実的なオチとなるのか。FBIや州警察を出し抜くジャックだが、それでも地元民の中ではスクープを狙う記者や、義憤にかられて行動を起こす者もいる。それらが入り混じる中で、フィッシャーマンはどのような最後を迎えるのか。

まともな神経では読むのがつらくなる作品だ。



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