2020.9.3 根深い差別に対抗する黒人カップル【ビール・ストリートの恋人たち】
ビール・ストリートの恋人たち [ キキ・レイン ]
評価:2.5
■ヒトコト感想
70年代のNYを舞台にした黒人カップルの物語。黒人差別はあるとして、黒人同士でも差別は存在する。ティッシュは妊娠し、そのことを家族に報告するのだが…。すべてが良い受け取り方をされるわけではない。ファニーが無罪の罪で留置所に入れられる。ファニーの家族とティッシュの家族はお互いの考え方の違いから反発する。
若すぎるふたりが子供を育てることができるのか。特にファニーの母親と姉たちはティッシュに激しい嫌悪感をいだいている。白人警官とのちょっとした諍いから無実の罪で収監されたファニー。家族はファニーを助けようとするのだが…。裁判での証人たちはファニーのために動こうとしない。黒人差別の残酷さが描かれている。
■ストーリー
「赤ちゃんができたの」1970年代のニューヨーク。ティッシュは19歳。恋人のファニーは22歳。幼い頃から共に育ち、自然と愛を育み、運命の相手を互いに見出した二人にとって、それは素晴らしい報告のはずだった。しかし、ファニーは無実の罪で留置所にいる。彼はティッシュの言葉を面会室のガラス越しに聞いた。小さな諍いで白人警官の怒りを買った彼は強姦罪で逮捕され、有罪となれば刑務所で恥辱に満ちた日々を送るしかない。
二人の愛を守るために家族と友人たちはファニーを助け出そうと奔走するが、そこには様々な困難が待ち受けていた...。魂を試されるようなこの試練を乗り越え、恋人たちは互いの腕の中に帰ることが出来るだろうか。
■感想
ティッシュとファニーの若い黒人カップルは、愛し合い、そしてティッシュは妊娠する。誰もが若いカップルの誕生に喜ぶかと思いきや…。ファニーは無実の罪で収監されてしまう。そんな状態でティッシュは子供を産み、育てることができるのか。
ティッシュの家族はふたりを快く祝福する。ファニーの家族も父親は大喜びでティッシュの父親と意気投合したりもする。そんな中で、ファニーの母親だけは、ティッシュに対して辛くあたる。ファニーが留置場にいる段階での結婚には強く反対している。
ファニーがそもそも無実の罪をきせられたのは、白人警官による黒人差別からだ。やってもいないレイプ疑惑をかけられるファニー。被害者の女性はプエルトリコに移住してしまう。そんな状態では誰もファニーが無実だと証明できない。
白人警官の横暴と黒人に対する根深い差別。そこから先にあるのは立場の弱い黒人たちは泣き寝入りするしかない現実だ。ティッシュはおなかの大きな状態で、ファニーを助けるために奔走する。ファニーに面会に行くのだが、ファニーが自分の苦しさに耐え切れずティッシュに八つ当たりしたりもする。
黒人は常にびくびくして生活しなければならないのか。白人に気に入られなくなった瞬間に無実の罪をきせられ、ひとつの家族が崩壊する可能性もある。むちゃくちゃな状況であることは間違いない。差別撤廃が叫ばれたとしても、現実には黒人差別は根深く残っているのだろう。
現代でも黒人は常に白人よりも気を使って日々生活しなければならないと聞いたことがある。若いカップルがちょっとしたイザコザから始まった差別により崩壊するのは悲しいことだ。
黒人差別は黒人内部でも起こっていることなのだろう。
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