ベテラン


 2019.10.16      財閥系おぼっちゃまのすさまじい憎たらしさ【ベテラン】

                     
ベテラン
評価:3.5

■ヒトコト感想
ベテラン刑事の熱い物語が描かれてる。巨大財閥の御曹司にひるまず立ち向かうなんてのは韓国独特であり、いかにも韓国でヒットしそうだ。ベテラン刑事たちのチームも、正義感にあふれている。ただ熱いだけでなく、ちょっとお茶らけた雰囲気があるのがよい。完全無欠の正義ではなく欠点だらけの正義ではあるが、財閥の御曹司が好き勝手なことをしても親の力でもみ消した事件を必死に暴こうとする。

悪役がすさまじく憎たらしいことが本作の面白さにつながっている。確実にベテラン刑事にやり込められるとわかっているからこそ、悪役の悪さが観衆には心地よい。窮地に陥ったベテラン刑事を助けるわき役たちも妙に良い味をだしている。

■ストーリー
“刑事としてのプライド"をかけた熱き闘いが始まる――ソウル警視庁の広域捜査隊に所属するソ・ドチョル(ファン・ジョンミン)は、気性は荒いが男気あふれるベテランの熱血刑事。かつて世話になったトラック運転手が、賃金の不払いに抗議するためシンジン物産の本社ビルを訪れた直後、意識不明の重体に陥ったことを知ったドチョルは、不審を抱いて真相究明に乗り出す。

その直感は的中し、この謎めいた事件には巨大財閥シンジン・グループの御曹司、チョ・テオ(ユ・アイン)の血も涙もない悪行が絡んでいた。卑劣な揉み消し工作、度重なる捜査妨害にも屈しないドチョルは、八方ふさがりの状況の中から猛反撃に転じ、巨悪との命がけの闘いに身を投じていく――

■感想
ベテラン刑事のソは荒っぽいが男気溢れるよい男。広域捜査隊のチームメンバーも個性豊かだが、なにより悪役がこれでもかと悪役なのがよい。韓国では財閥がすべてを牛耳っている。過去に問題があったように財閥の家系に生まれた者はそれだけでなんでもありとなってしまう。

本作ではそんな財閥の御曹司であるテオが強烈な悪行と憎たらしいまでに親の権力を使って好き勝手している。ソたちは知り合いが飛び降り自殺を試み意識不明の重体になったことを知る。それにテオが関わっていると感じテオに付きまとうのだが…。

テオは財閥の力を使いソに圧力をかける。いかにも韓国の財閥系おぼっちゃまがやりそうなことだ。広域捜査隊の隊長に裏から手を回したり、ソの奥さんの事業に出資すると持ち掛けたり。あらゆる人脈を駆使してソに捜査をやめさせようとする。

ソはそれを知ってなお、より激しく捜査を続けようとする。ソが同僚の警察にわいろを貰って恥ずかしくないのか!と恫喝する場面はかっこよい。さっそうと高級外車に乗り込むテオに対して、必死に食らいつこうとするソの姿は感動的ですらある。

テオの悪役具合はすさまじい。総合格闘技のスパーリング中に相手が気に入らないと、一瞬手を抜かせてそこから足を折ったりもする。究極に憎たらしいテオに対してソはじわじわと追い詰めていく。最終的には広域捜査隊の隊長は周りの圧力を無視してソたちのチームに自由にさせようとする。

この男気溢れる行動の数々はしびれる。ラストではどうにもならなくなったテオが国外へ脱出する直前にテオを強引に追い詰めることになる。夜の繁華街で市民が多数いる中でのテオ対ソの殴り合いが始まる。

韓国の財閥系おぼっちゃまの憎たらしさはすさまじい。



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