バリーリンドン


 2022.2.10      人生すごろくとしては成功の部類に入るだろう【バリーリンドン】

                     
バリーリンドン [ ライアン・オニール ]
評価:3

■ヒトコト感想
中世ヨーロッパを舞台にした作品。アイルランドの平民が貴族として成り上がるまでを描いた作品。序盤のバリーは自分の欲望に素直になりすぎたため、従妹に恋をし従姉の結婚相手と決闘をしたりもする。そこから家を追い出され生活するために軍人となり戦いに明け暮れる場面もある。

ヨーロッパの戦争の描写は強烈だ。日本の戦国時代のように走って槍をもつのに近いのだが、それが隊列を組んでゆっくりと歩いて相手に向かっていく。相手が銃を撃ってきたとしてもひるむことなく隊列を崩さずに進む。当然、次々と撃たれていくのだが…。なんでこんな戦い方なのか?という疑問ばかりがかなり強く印象に残った。その後のバリーの人生の浮き沈みについても、十分楽しめる作品だ。

■ストーリー
アイルランドの平民の若者が18世紀の貴族になるにはどうすればよいのか?唯一かつ全てと思われる方法をバリー・リンドン(ライアン・オニール)は実行した---。富と権力をつかむ物語を描いたウィリアム・メークピース・サッカレーの小説をスタンリー・キューブリックが見事に映像化した作品。

■感想
平民のバリーが成り上がるためにどのように行動してきたのか。従姉の女性に恋をし、結婚相手に決闘を申し込むあたりは、まだまだ若造として人生の機微がわかっていない青二才だ。そこから、どのようにすれば自分が成り上がれるかを考えるようになる。

軍隊に入ってからは、上官に気に入られるために必死に戦い続ける。そこまで腹黒い印象はまだない。ひたすら頑張ることで上官に目をかけてもらい、成長していく。軍隊から抜け出すための苦労もあるのだが、そこから貴族になるまでの成り上がりがすさまじい。

バリーは貴族になるために、貴族の女に近づいていく。このあたりから、バリーのしたたかさがより強調されている。未亡人で資産家でもある女性に近づき、貴族へ成り上がろうとする。貴族になるために有力者に賄賂まがいの金を渡したりもする。

バリーには種違いの息子がおり、その息子から恨まれたりもする。実の息子を重要視していたが、その実の息子は馬から落馬し死亡してしまう。不運が重なる時は次々と不運がやってくる。このあたりのバリーは一見うまくいっていそうだが、内情はボロボロなのだろう。

バリーは常に息子から恨まれ続け、最後には息子から決闘を申し込まれてしまう。自分が従姉の婚約者に対して行ったことが、そのまま自分に返ってくる。バリーは息子を撃つわけにはいかず、地面に向かって銃を撃つ。対して息子の方は一度は失敗したが、二度目にもしっかりとバリーを撃とうとし、その結果、足を撃ってしまう。

その怪我が元になりバリーは足を切断することになる。バリーの貴族としての成り上がり人生はここで終了となる。ただ、はたから見ると人生すごろくの中では成功した方だろうと思えてしまう。

バリーの人生は波乱万丈すぎる。



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