バーニング・オーシャン


 2020.2.25      実際に起きた石油採掘施設の事故【バーニング・オーシャン】

                     
バーニング・オーシャン
評価:3.5

■ヒトコト感想
実際に起こった事故を描いた作品。石油採掘施設での爆発炎上事故。ある程度誇張されているとはいえ、周りを海に囲まれた施設が火事になれば、当然逃げ場はない。物語としては、企業的利益を追い求める上層部と安全を第一に考え慎重に試験を続ける現場作業員たちの攻防からスタートする。利益優先の考えにより事故が起きたというストーリー展開だ。

実際の事故の裁判でも幹部たちは訴えられたらしいのだが…。事故の描写はすさまじい迫力がある。石油採掘施設なので、炎の元となる石油は出続けている。船の助けを待てずに海に飛び込む者もいる。現場作業員の主任であるジミーはなんとか事態を打開しようと必死になる。炎の迫力と、エンドロールで流れる実際の映像は、すべてが現実に起こったことなのだと驚かされる。

■ストーリー
2010年4月20日。電気技師マイク(マーク・ウォールバーグ)は、家族を残しメキシコ湾沖の石油掘削施設「ディープウォーター・ホライゾン」に単身赴いた。掘削現場では主任ジミー(カート・ラッセル)の抗議も虚しく、工期遅れを挽回したい石油会社管理職のヴィドリン(ジョン・マルコヴィッチ)によって重要な安全確認テストが省略されてしまう。ずさんな管理体制で工事が進められた結果、大量の原油が噴出し施設は大爆発の炎に包まれる。脱出可能なタイムリミットが刻一刻と迫るなか、施設に残された126人の運命は―!

■感想
海の真ん中で怪しく浮いている石油採掘施設。現場はうまくいかない石油採掘作業によりイライラがつのっている。そこにやってきた技術主任のジミーと電気技師のマイク。安全第一で作業指示をするジミー。石油会社の幹部たちの要請に対しても持論を曲げることがない。

明らかにこの序盤の状況から、幹部たちのごり押しがあとあと大きな問題になると想像できる。そして、案の定、採掘を強行したことから大事故が起きる。事故の瞬間の激しさはすさまじい。激しい爆風でいくつもの部屋のガラスやドアが吹っ飛ぶのはすさまじい。

周りを海に囲まれ、逃げることができない状況で炎が噴き出すのは絶望的だ。巨大な石油採掘施設が巨大な火柱をあげる。海底から際限なく吹き上げる石油に火が付くと、もはや止めることはできない。ジミーが必死に石油が噴き出すのを止めようとするのだが…。

マイクはひたすら施設内に残った部下たちを助け出そうと奔走する。ジミーは見るのも痛々しいほどボロボロの状態となっている。体中にガラスが突き刺さっている。マイクの必死な救出活動と、機転をきかせたレスキュー隊の活躍により事故の規模の割には犠牲者は少ない。

作業員たちの家族はライブ映像を見て祈るしかない。気が気ではないだろう。自分たちの家族がどうなっているのかわからない。そして、事故後には裁判が開かれている。ここで石油会社幹部は訴えられたが、結局不起訴となったようだ。

エンドロールで作業員たちの写真が登場してくる。ジミーについては実物とそっくりな俳優を選んだのだろう。最悪な事故の割には犠牲者は少ないという印象だ。本作は実話をもとにしているからこそ、ドラマチックな展開がない。それでも十分スリリングな物語だ。

石油採掘施設にとっては火事はご法度だ。



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