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　2020.10.1 　　 　　老人が若返ったらどうなるのか【あやしい彼女】

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あやしい彼女[ 多部未華子 ]
評価：3

■ヒトコト感想
絵にかいたような気難しいおばあさんである瀬山カツ。年寄仲間からも煙たがれるおばあちゃん。娘の幸恵や孫の翼からは当然ながら厄介者扱いされている。幸恵に対して恩着せがましく、あんたがいたから自由にできなかったなんて語るのは嫌なおばあさんの典型だ。女でひとつで育てたとしても、そのことを恩着せがましく娘に語るなんてのはダメなパターンだ。

そんなカツがひょんなことから若返り２０歳のころのカツに戻る。急に若返ったカツが人生を謳歌する？老人が若返るパターンとしては今までやれなかったことをやるパターンがある。今回は、カツは翼のバンドでボーカルとしてデビューしようとするのだが…。それだけでなく、当然ながら恋もする。若返ったカツは魅力的だ。

■ストーリー
下町の商店街を鼻歌まじりに闊歩する瀬山カツ(倍賞美津子)は、お年寄り仲間からも煙たがられる毒舌おばあちゃん。キャリアウーマンの娘・幸恵(小林聡美)や、自称・バンドマンの孫・翼(北村匠海)の自慢話を繰り返すカツに、みんな内心うんざり。自慢の娘・幸恵との仲も最近はぎくしゃく。女手一つで娘を育て、何かと恩着せがましい物言いをするカツに、ある日とうとう幸恵が爆発。喧嘩となり、思わずカツは家を飛び出してしまう。

カツが夜道を歩いていると、見たこともない小さな写真館を発見。そこで見たのは、大好きなオードリー・ヘップバーンの写真。何かに吸い寄せられるように写真館に入っていくカツ。「私がこのカメラでお姫様にしてあげますよ」そう微笑んで、店主はシャッターを切った…。写真館を出たカツはバイクのミラーに映る自分を見て驚愕する…。そこには20歳に若返った自分(多部未華子)の姿があった。

■感想
気難しいおばあさんが若返ったらどうなるか。見た目は若いが中身はおばあさん。体が元気になると心も変わるのだろう。カツの性格も若くなることで少しなめらかになっている。本作のポイントとしてはカツが若返ったことにより、幸恵や翼と出会い、どのような対応をするかの面白さがある。

さらには、幼馴染の次郎と出会い、いつのまにか２０歳のカツは次郎の家に居候してしまう。カツのアグレッシブさは現在の若者にはない図々しさに近い、何か勢いのようなものを感じずにはいられない。

カツは偶然が重なり翼のバンドでボーカルをすることになる。そして、イケメン音楽プロデューサーに認められ、デビューのチャンスをつかみかける。このイケメンプロデューサーとの恋愛も本作のポイントのひとつかもしれない。

カツはイケメンに惹かれ、相手も少しづつカツに惹かれていく。次郎が若いカツの正体に気づく場面がある。ここから少し複雑になっていく。次郎はカツのことが好きなのだが、今の状態は孫くらい年の離れた関係となるため、次郎は一歩を踏み出すことができない。

カツは血が抜けると元の老人に戻ってしまう。そんな状態で翼が交通事故にあう。お決まりパターンとしてカツは翼を助けるために輸血を決意するのだが…。若いカツの姿で幸恵と和解するシーンは強烈だ。幸恵の若いカツに対する接し方も戸惑いが見える。

さすがに目の前にいる若い女が、自分の母親だと言われてすんなり信じることは難しいだろう。多少シリアスな流れはあるが、老人が若く生まれ変わったとしたら、というＳＦの要素が良い。

ラストではカツは元に戻り次郎が若返っているのが良い。